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素直になれたなら

Gパンのセンタープレスをする為に、
気持ちの良い午後、アイロン掛けをしました。

普段からハンカチやエプロン、主人のワイシャツや他所行きのTシャツたち。週末は子どもが持ち帰る給食当番で使った白衣や体操着など。あらゆる物たちをアイロン掛けしている私です。

日々のありふれた日常生活の一部ではありますが、
私にはアイロン掛けをする度に思い出すことがあります。

大学卒業後、私は就活を辞めてオーストラリアへとワーキングホリデーで滞在&そこでの暮らしを選びました。
語学学校やアルバイトもしました。

始めにお世話になったのは、仕事をリタイアした御夫婦のお家。彼らもまた、初めてホストファミリーとなり外国人を受け入れる方たちでした。

とても親切で、とても優しくて、とても愛情深い方たちでした。色々な所に連れて行ってくれましたし、学校の宿題を手伝ってくれたり。会話をする上で、コミュニケーションを取る上での大切なことや、その言い回し、表現の仕方なども丁寧に教えてくれました。

オーストラリアでは、水はとても貴重で、毎日洗濯機を回すことはありませんでした。何日間か溜めて、まとめて一気に洗う。
そして、その洗濯物一つ一つに丁寧にアイロン掛けをする。
それがホストマザーの日課でした。

初めて見た時は驚きました。TシャツにもGパンにも、本当に全てにアイロン掛けをするのです。
ただ、そのアイロン掛けされたシャツ、特にTシャツは買ったばかりのような生地のハリ感がよみがえり、とても気持ち良いものでした。それもまた、衝撃的でした。

健康管理も、毎日の料理も、家事やパートナーに対する愛情表現も。ホストファミリーはとても素直に丁寧に、ストレートに表現していました。

正直、とても羨ましかったです。

私は日本で色々なことがあって、疑心暗鬼な気持ちで一杯で、自己表現するのがとても怖いままでした。
そして、素直に気持ちを伝えることも苦手となっていて、相手からの愛情も素直に受け取れないままでした。

留学のエイジェントからの紹介でお世話になったホストファミリー。期間終了後も、一緒に生活をしてみない?と誘ってくれたものの、私はそれを断り他に移ることを選択しました。

異国の人間を本当の娘のように、温かく迎え入れてくれた彼らだったのに。私はその愛情を素直に受け取ることができませんでした。

あの時、もっと素直になれていたなら。
私の人生は、また違ったのかもしれません。
国際結婚してたかもな…なんてw

と、そんなことを思いながら、
今日もアイロン掛けをする私です。

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