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セックス、ジェンダー、セクシュアリティって?-性のあり方に関する概念を詳しくまとめてみた

「人の性のあり方について知りたいと思って調べてみたら、難しい用語がたくさんあって困った」なんてことはありませんか?
まず、性別を表すのにセックスジェンダーの区別がある。さらに、よく耳にするのがセクシュアリティという言葉。なんとなくはわかるけど、いまいちよくわかっていないという人も多いんじゃないでしょうか。

そこで今回は、人間の性のあり方に関する用語・概念を詳しくまとめてみました。性のあり方についてこれから知ろうという人や、自分の性についてじっくり考えたい人、あらためて定義を確認したい人などは、ぜひ参考にしてみてください!

セックス/ジェンダー

セックスは、よく「生物学的性別」と言われたりします。これだけだとあまりピンとこないかもしれないですし、個人的に性の話をするときにあまり「生物学」という言葉を使いたくないので、単に「身体の性」や、「生まれた時に外性器の見た目によって割り当てられる性別」と覚えておくのが一番良いと思います。僕たちが生まれてから1週間以内に出生届が出されますが、そこに書かれる性別がセックスです。そして、それに納得している人もいれば、納得していない人もいます。また、男性や女性のカテゴリーに当てはまらないセックスの人もいて、このように性別が割り当てられるシステム自体が適さない人もいます。


ジェンダーは、一般にセックスに付加された社会的・文化的性差を指します。社会によって期待されるいわゆる「男らしさ」や「女らしさ」というとわかりやすいですね。

ジェンダーは、性に関する生物学的本質主義と社会構築主義の対立を通じて生まれた概念。生物学的本質主義とは、「男らしさや女らしさは、生物としての本質にしたがって自然に備わっているもので、不可避の宿命」とする立場です。
一方社会構築主義は、生物学的本質主義への批判として現れたもので、「男らしさや女らしさなどの"らしさ"は日常生活の中で後天的に習得されるもの」とする立場です。後天的に習得される"らしさ"が、ジェンダーなんです。

また、ジェンダーは後天的に習得されるものであるため、異なる文化圏や時代によって流動的に変化していきます。さらに、人と人との交流の中に存在する概念なので、ジェンダーの役割は人々の認識によって変化していきます

多様なジェンダー・アイデンティティ

よって、ジェンダーは必ずしもセックスによって決まるわけではないんです。人のジェンダーとセックスは一致することもあれば、一致しないこともありますし、一部は一致していても一部は一致していない、ということもあったりします。

人のジェンダーに対する捉え方は人それぞれで、多様。正解はなく、「あなたがあなたをどのように理解するか」が大切です。そしてそれを、ジェンダー・アイデンティティ(性自認)といいます。セックスを身体の性と言うのに対して、こちらは心の性と言われます。

ジェンダー・アイデンティティには名前がついているものがあります。例えば、セックスとジェンダーが一致している場合「シスジェンダー」、セックスとジェンダーが一致していない場合「トランスジェンダー」、必ずしも男性/女性に分類されない場合「Xジェンダー」など、様々です。ですが、もちろんすでに名前のついているもには当てはまらない人もいます。

セクシュアル・オリエンテーション(性的指向)とロマンティック・オリエンテーション(恋愛指向)

性別や性差だけでなく、「どんな時に、どんな対象に性的感情を抱くか、または抱かないのか」ということは、人間の性を考える際に重要になります。それを、セクシュアル・オリエンテーション(性的指向)と言います。

こちらも、名前がついているものがあります。例えば、性的感情を抱く対象が異性の場合「ヘテロセクシュアル」、同性の場合「ホモセクシュアル」、両方の性の場合「バイセクシュアル」、性別を問わず性的感情を抱く「パンセクシュアル」、誰に対しても性的感情を抱かない「アセクシュアル」などなどです。

ただ、ジェンダー・アイデンティティと同様、すでに名前のついたものには当てはまらない人もいます。なのでこれらはあくまで、自分の性のあり方を理解するヒントとして捉えておくのが重要です!

※「セクシュアリティ」という言葉が、単に性的指向として使われる場合もあります。


性的感情と、恋愛感情は、必ずしも一致するわけではありません。ある人に性的感情を抱いても、別に好きというわけではない、ということもあります。逆に、ある人を好きでも、その人に性的感情を抱かないこともあるのです。「どんな時に、どんな対象に恋愛的感情を抱くか、または抱かないか」を、ロマンティック・オリエンテーション(恋愛指向)と言います。

ロマンティック・オリエンテーションにも名前のついているものがあります。例えば、恋愛感情を抱く対象が異性の場合「ヘテロロマンティック」、同性の場合「ホモロマンティック」、両方の性の場合「バイロマンティック」、性別を問わず恋愛感情を抱く「パンロマンティック」、誰に対しても恋愛感情を抱かない「アロマンティック」などなどです。そしてもちろん、すでに名前のついたものには当てはまらない人もいます。

また、女性として、女性に対して性的感情や恋愛感情を抱く人を「レズビアン」、男性として、男性に対して性的感情や恋愛感情を抱く人を「ゲイ」と呼びます。

セクシュアリティとは-自分について考える

セクシュアリティという概念は、性と欲望に関わる人間の活動全般を表します。ここまで人間の性のあり方に関する様々な概念を確認してきましたが、それらの、セックス、ジェンダー、自分のジェンダー・アイデンティティは何か、自分のセクシュアル・オリエンテーションは何か、自分のロマンティック・オリエンテーションは何かなど、性に関する多様な要素全てが、セクシュアリティを構成するんです。
また、人のセクシュアリティは、人生を通して変わらないというわけではありません。変動する可能性はあるし、必ずしも一貫しているとは限らないということは覚えておいてください。


さて、ここまでみてきて、改めて自分のセクシュアリティはどんな感じだろうな〜と自分の経験を振り返ってみている人もいると思います。今まで考えたことのなかったことを考えてみて、新たな自分を発見する人もいるかもしれません。

また、様々な要素があるので、自分だけで考えるのは難しいし、すぐにはわからないという人もいるかと思います。そこで最後に、僕のおすすめの、自分のセクシュアリティについて考える助けになるツールを紹介します!

それが、anone,。66問の質問に答えると、2000通りのセクシュアリティの中から、自分に最も近いセクシュアリティを4つの切り口から分析してくれるサイトです。その4つとは、こころの性(ジェンダー・アイデンティティ)、性的志向(セクシュアル・オリエンテーション)、恋愛志向(ロマンティック・オリエンテーション)、表現したい性。そして、それぞれ自分に最も近いものがどのようなものか、詳しく解説してくれます。

あくまで自分を知るためのヒントですが、僕はanone,を使うことで、自分1人ではなかなか理解できなかった自分のセクシュアリティについて理解を深めることができました。無料で使えるので、みなさんもぜひ分析してみてください!

また、セクシュアリティは変動していくものなので、anone,ではあくまで「まだ知らないあなたを探すきっかけ」として利用してもらうことを前提にしています。僕も、去年分析したものと先週分析したもので結果が違っていて、結構面白いです。今回分析してみた人も、時間が経ってからまた分析すると、結果が違って面白いかもしれません。

終わりに

今回は、人間の性のあり方についての概念を詳しくまとめてみました。一見難しいですが、自分自身に関係のあることなので、面白く読めた人は多いんじゃないでしょうか。今後性について学ぶ時などにも、ぜひ参考にしてみてください。ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

〈参考文献〉
パレットーク『マンガでわかるLGBTQ+』 講談社、2021年
ピルチャー・ジェイン、ウィラハン・イメルダ『ジェンダー・スタディーズ』片山亜紀訳、新曜社、2009年
森山至貴『LGBTを読み解く—クィア・スタディーズ入門』 筑摩書房、2017年

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