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必要性が生まれる前に技術が先に生まれる~顧客ニーズと技術の関係性について~

「2016年出版された〈インターネット〉の次に来るもの」を読み返しています。

生成AIが普及する前から、インターネットの未来としての生成AIを予見している言葉が散りばめられています。

ウェブは1980年代に流行ったサイバースペースのように出向くべき場所というより、あなたの存在そのものに近いものになる。それはいつも周りにあって点灯し、目に見えない電気のような低位安定した存在になっていく。2050年にはわれわれにとってウェブは、常時存在している会話の一種のようなものになるだろう。

〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則 ケヴィン・ケリー (著)

テクノロジー進化を読み解く視点をもつことは、マーケティングの仕事をする上で必須だと最近考えています。

生成AIと向き合う問いを変えること

本屋に行くと、生成AIに関する本が山積みになっています。

しかし、どの本もプロンプト紹介のような、活用方法を紹介しただけのものが多いです。

多くの書籍・ブログなどの問いは、

生成AIをどのように活用できるか?

です。

ではなく、向き合う問いを変える必要があると考えています。

例えば、

生成AIの技術変化は、人の行動をどのように変えるのか?

生成AI前も含めて、技術進化はどのように人の行動を変えてきたのか?

向き合いたいと考えている問い

といった問いと向き合うことで、技術進化の本質をつかみ、マーケティングの仕事に活かす視点が得られると考えています。

テクノロジー進化を読み解く視点について
マーケティング戦略を考える前に理解をしておきたいことをまとめてみました。

1.テクニウムを理解する

「検索から生成へ 生成AIによるパラダイムシフトの行方」という本は、
Chat GPTを中心とした生成AIをトレンドではなく、
変化の起点として捉えることの重要性
がわかりやすくまとまっています。

とくに、理解しておきたいのがテクニウムという概念。

そしてテクニウムという考え方を意識すると、技術の進歩の歴史や未来を見通すのが少し簡単になります。
最初に、テクニウムの重要な性質を挙げておきます。
・必要性が生まれる前に技術が先に生まれる
・普及した技術は、必ずほかの技術を取り込む
・技術は、普及すればするほど安く、小さく、軽く進歩する

テクニウムについて 引用元:検索から生成へ 生成AIによるパラダイムシフトの行方

このテクニウムの概念の中に、技術と人のニーズの関係性を捉えるヒントがあると思っています。

歴史を遡っても、
1. 人のニーズより技術が先に生まれる
2. 技術をベースにして人の行動が変わる
3. 技術が普及し、社会・人々のニーズが生まれる
この3つの流れで、技術進化、人の行動変化が生まれていることがわかります。

生成AIのテクノロジーもテクニウムの考え方を当てはめると、自然と生活に浸透する可能性が高いと考えることができます。

検索行動は生成AIに置き換わるという考察

書籍の中で、生成AIの登場によって、Google、Yahooなどの当たり前に根付いた検索行動に対する変化に関する考察も紹介されています。

人間が検索するのはなんのためか、ということを分解すると、以下のような手順になります。
・欲望(なにかしたい)→検索キーワードを考える→検索する→ページを見て理解する→行動する  
このうち、検索エンジンがやってくれるのは、まんなかの「検索する」というところだけです。
しかし、生成AIは、最初の「欲望」と「行動する」以外のすべてを代行してくれます。生成が検索に取って代わるのはごく自然な流れと言えるのです。

引用元:検索から生成へ 生成AIによるパラダイムシフトの行方

既に生成AIは検索エンジンの中に取り込まれており、検索ではなく生成をベースに人の情報探索・意思決定が行われる未来になるのは必然だと捉えることとができます。

まずはGoogleが出しているSGEの考え方は読み込んでおきたい。

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