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マーケティングにシステム思考の考え方を持ち込む実験

態度変容モデル、ナーチャリング、刈り取り…
全ての言葉が、あまり好きではない。

なぜ顧客を"都合良く"動かす発想になってしまうのだろう?

この問いに答えるために、最近はシステム思考を学んでいます。

マーケティングをフローではなくシステムで考える可能性を探っていることを今月のnoteでも書きました。

さらに試行錯誤をする中で見えてきたことがあるので、皆さんと共有ができればと思います。

最初に:システム思考とは?

最初に言葉の認識合わせをさせてください。

1.システム思考とは
物事の関連性や全体像を理解するためのアプローチと捉えるとわかりやすいです。個々の要素だけでなく、その要素間の関係や相互作用を重視します。

2.システムマップとは?

システム思考を図式化したもので、要素やその関連を視覚的に表現したもの

この2つをマーケティングの世界に入れ込む実験をしています

システム思考やシステムマップについては、下記の動画を見ていただくとイメージ掴むことができます。
(10万円以上で有料の動画を見てきましたが、このYouTubeチャンネルが無料でわかりやすくまとまっていました…)

カスタマージャーニーマップをシステム思考で捉える

マーケティング実務にて、システム思考をどう活用できるかをカスタマージャーニーマップを例に考えていきます。

今までのカスタマージャーニーマップはこちらです。フロー図の形式で描くことが一般的です。

システム思考×カスタマージャーニーマップ

ジャーニーを一方通行ではなく、システムマップの発想で描きます。

モデルとして出会ったのが、IKEAのカスタマージャーニーをシステム図で整理した図です。

The journey, the experience and the systemより引用

あ、この発想と表現だ!!!

とモヤッとイメージしていたことが明確になりました。

こちらの記事(medium※英語記事)に詳細があります。

・顧客はチャネル(どこで情報を取得するか)を気にしていない
・顧客は製品を購入することには関心がなく、どのように自分たちの問題を解決することだけに関心がある
つまり、ジャーニーマップはフロー図で捉えると、顧客を無視して、すべて私たち視点になりやすいのです。

The journey, the experience and the system
の記事に書かれているニュアンスを踏まえて、筆者解釈

購買行動は一方通行ではない

顧客の行動は単一方向に進んでいくだけではなく、行ったり来たりを繰り返しますよね。

例えば、
・購買と比較検討は繰り返す
・比較検討と推奨(情報だけで一度共感ポイントを発信する)
など。

しかし、カスタマージャーニーマップを描くとなると、急に直線的な体験に当てはめてしまいがちです…

そこで、システム図で各要素のつながりを描けると、
・企業都合での顧客体験設計
・無理矢理に各要素をつなぐ

などが無くせると考えています。

カスタマーシステム発想に切り替えよう

これは、システム図でカスタマージャーニーを描く型をつくっている図のイメージです。
カスタマーシステムマップと名付けています。

カスタマーシステムマップの例
東京ばな奈の購買体験を例に作成。

システム全体を見た上で、東京ばな奈のお土産購入体験におけるポイントを考えてみます。

・東京のお土産として、クチコミ量、認知度が多いことの安心価値

・定番でありながら、パッケージの可愛らしさ、その時々の限定感、を持ち運べる価値

・定番なので、お土産を渡した際にストーリーを伝えやすい価値

これらの価値がつながりあって、東京ばな奈の独自性が形成されていることが理解できます。

戦略もシステムで捉える

こちらは東京ばな奈のマーケティングトレースをシステム図で描き直した図です。

マーケティングトレースをシステム図で作成(Miroで作成)
元のマーケティングトレースはこちら

カスタマージャーニーも マーケティング戦略もシステム図を活用することで、
・フレームワーク同士のつながり
・各要素同士をつながり
を理解して、
どのように価値が生まれ、循環していくか?
といったマーケティングの本質が理解しやすくなりました。

マーケティングは1つの打ち手で成功が決まるわけではない

マーケティングは、
何か一つの打ち手や出来事によって成功する…
ということはありません。

複数の要素が繋がりあって、
成功する構造(システム)
が生まれています。

ブランドの競争力を生み出すのは「表には見えない各要素のつながり」であることを理解するためには、下記の記事がとてもわかりやすいです。

この全体像と要素同士のつながりを理解するためにマーケティングトレースをシステムマップで表現することは、
・思考トレーニングとしても
・実務で全体設計を考える際にも
活用できると感じています。

マーケティングトレースのシステムマップを作成する方法

作成する流れをまとめると下記の3Stepです。

  1. 各フレームワークに基づいて要素を書き出す

  2. 各要素を矢印でつなぐ(+、−、±など要素同士の影響は表現)

  3. システムの中心(優位性を支えている要素)を特定する

システムマップを作成する際は、
・綺麗にまとめようと思わないでカオスを受け入れること
・全体と部分を往復しながら考えること
が重要です。

ぜひ、部分最適からの脱却や、チーム内で優位性を生むシステムをつくるための議論の参考にしていただけたら嬉しいです!

最後まで読んでくださりありがとうございました!

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