Spotifyは、なぜ2兆円もの企業価値がつくのか?ビジネスモデルを図解して読み解いてみる
Spotifyが上場というニュースが話題になっています!
企業価値は2兆円近くと推定されています。
日本のマーケットだと楽天が2兆円弱の時価総額です。
音楽のストリーミング配信という事業のみで2兆円もの時価総額って凄い・・・
一体Spotifyには何が隠されているのでしょうか?
ビジネスモデル図解から読み解いてみます。
Spotifyのビジネスモデル図解
構造を読み解いていきましょう。
ビジネスモデルの全体像について
Spotifyの収益源は、月額の有料課金と広告収入の2本柱。
(図解の赤色のVはバリューを表し、ユーザー価値、広告主価値を追求していることを示しています)
次に、支出構造についてですが、レコード会社を挟んで、著作権料を支払っているという構造になっているようです。
図解の上側に記載している、買収・提携してきている企業の分野を記載しています。
買収と提携戦略をみていくと、Spotifyの競争優位性が見えてきます。
この優位性がどのように形成されているのかについて、この後説明していきます。
※今回は、特にテクノロジーに焦点を当てていきます。
Spotifyのコンセプトはテクノロジーに支えられている
Spotifyの競争優位性となっているのはUI/UXだと様々なところで言われています。(だとユーザーの視点でも感じています)
このUI/UXは、買収してきたテクノロジーによって支えられています。
テック系企業を買収→独自のパーソナライゼーションを実現=顧客価値の追求→有料会員の増加・・という流れをつくっているのです。
①テクノロジーによって実現するパーソナライゼーション
図解の赤字部分がコンセプトと、Spotifyの優位性に関する記述です。
Spotifyのコンセプトは”人と音楽の理想の出会い”
人と音楽の理想の出会い=パーソナライゼーション化。Amazonと一緒ですね。
このパーソナライゼーションを追求するために、Spotifyはテック系企業を次々と買収してきています。
SpotifyがAIスタートアップのNilandを買収、パーソナライゼーションとリコメンデーションの強化を狙う
Spotify、有料会員数6000万人を突破。わずか1年未満で2000万人増、勢い止まらぬ”高コンバージョン”を実現できる理由
②アーティストの著作権管理はブロックチェーンで管理していく
図解の左側の部分です。
Spotifyはアーティストの著作権料が大きな支出となりますが、この管理方法もテクノロジーを活用して効率化、安全性を追求した著作物の流通を実現しようとしています。
spotifyは曲数が4000万曲以上と圧倒的に多いのが他の音楽ストリーミングサービスとの違い。ニッチなアーティスト含めてカバーしていて、この著作�権を保護する仕組みがspotifyの優位性を支える構造になっているわけですね。
③オーディオ広告という新しいマーケットをつくる
図解の右下にあたる部分です。
Spotifyの収益源の柱の一つである広告収入は、オーディオ広告という独自価値提供によって成り立っています。
Spotifyを使っている人はわかるかもしれませんが、流しっぱなしにしていて間に広告が入ってきても嫌な感じがしないのです。ユーザーにとって嫌な感じがしない完全視聴の広告だから、広告主にとっては嬉しい限りですね。
だから、広告主は増え、収益の柱を強化することができるという流れ。
2017年に動画検索スタートアップを買収して、さらに広告分野は強化を進めてきていますね。
スポティファイが動画検索スタートアップ「MightyTV」を買収 —— デジタル広告に本格参入へ
Spotifyの競争優位性まとめ
Spotifyの競争優位性をまとめるとこの3つです。
①徹底的にパーソナライゼーションされた音楽体験を提供
②著作権管理はブロックチェーンを活用して独自の方法を追求
③オーディオ広告という新しい価値を磨き、広告主を開拓
Spotifyは音楽配信ストリーミングサービス企業ではなく、もはやテクノロジー企業。
見事にビジネスモデルとテクノロジーとデザインを掛け合わせて、2兆円もの企業価値を作り出しているのです。
掲げるコンセプト(ビジョン)を実現するために、テクノロジー企業を次々と買収していく企業姿勢は、日本企業が学べることも多いように感じます。
2018年、SpotifyがIPOするのかどうか?そして、この後にどのような事業展開をしていくのかは大注目です!
Spotifyを参考に、ダイナミックな事業展開をしていきましょう!