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ファシリテーションにAIを介入させることの可能性

マーケティングに関わる人は、各部門の調整をしたり、戦略の共通認識をとったりすることが多いはのでファシリテーション能力は必須スキルだと考えています。

そして、ファシリテーションにAIを活用することで、よりフラットに対話・議論ができる場をつくりやすくなっていると感じています。

最近に実践してみての発見・学びを共有できればと思います。

ファシリテーションにAIが介入する意味

人間の思考や行動は、自分たちが思っている以上に適当で、主観たっぷりです。

そんな人間がファシリテーションをすると、議論がフラットになっているようで、主観的な判断に偏ってしまいやすいです。

ベイジの扮谷さんのツイート内容にとても共感です。

さらに、下記の取り組みを知り、良い議論をするためにはAIに介入してもらうことの可能性をさらに考えるようになりました。

とても面白い取り組みなので、ぜひページも見てみてください。

解くべき課題
影響力のある人の意見に全体が引きずられることがある。
みんなの前で発言しづらい人もいる。
一部の立場の意見しか反映されず、残りの意見が見逃されてしまう。

取組のポイント
集団での問題解決を支援するために、多様な意見を引き出し、合意形成をサポートするファシリテーションAIアプリを実装
プロのファシリテーターの代わりに、AIが客観的なファシリテーションを支援する。
多様な重要意見をAIが発見し、各自の潜在的な観点についての気づきを与える。

取組内容
ファシリテーションAIのプロトタイプを実装
参加者各自が意見を入力する。
参加者各自が他の人の意見の評価を行う。
評価を利用して、各自の潜在的な観点に配慮した上で、AIが多様な重要意見を発見する。

みんなの意見が反映される社会をファシリテーションAIで実現

改めて、ファシリテーションの基本プロセスを整理しつつ、その中にどのようにAIを組み込むかをまとめてみました。

ファシリテーターの役割とは何かの整理

ファシリテーター5つの役割を整理すると下記の5つになると考えています。

  1. 議論の進行管理

  2. 参加者の意見を引き出す

  3. 議論の質を高める

  4. 意見の整理

  5. 知識の整理と共有

上記の役割を踏まえて、マーケティングのプロジェクトで、どのようなポイントを押さえてファシリテーションができると良いかをお伝えしていきます。

1. 議論の進行管理

議論の進行管理は、アジェンダ作成・目的・目標設定などを行うことのイメージです。

目的を整理する時のポイント

目的を把握するためには、次の4つの角度から議論をする意味を考えると、共通認識は取りやすくなります。

事前にチェックをしておきたいのは、下記4つの視点です。

1. Why do?(なぜ、このテーマで対話する必要があるのか?)
2. Why now?(なぜ、この忙しい時期に今、対話する必要があるのか?)
3. Why us?(なぜ、私たち自身が、対話をしなければならないのか?)
4. What's merit?(対話を進めることで得られるメリットは何か?)

「対話と決断」で成果を生む 話し合いの作法 (PHPビジネス新書) 新書

ポイント:議論の大前提をまとめておく

そもそも、この場は何が大前提にあって成立しているのか?を整理しておけるとスムーズにファシリテーションがしやすくなります。

ビジネス・マーケティング目標や関連指標は下記のフォーマットで整理しておけると共通認識は取りやすい。

KGI・KPI・KSFを整理するフォーマット

また、戦略ステートメントを作成しておき、前提条件を整理しておくことも有効です。

戦略ステートメントのフォーマット例

なるべく前提条件はの全体像はまとめておけると、議論は進めやすくなります。

上記の前提情報の整理もChatGPTをフル活用すれば一瞬です。

議論の前提をChatGPTで整理するイメージ

2. 参加者の意見を引き出す

参加者の意見を引き出すためには、問いを工夫することが重要です。
いくつか問いのパターンを持っておくと、対応しやすくなります。

下記は、『「対話と決断」で成果を生む 話し合いの作法』の内容をもとに、自分が普段使っている問いのパターンです。

一歩踏み込んだ「問い」をつくる方法

1. 定量的に踏み込む
具体的な数字を指定して、相手の思考に制約をかけ、意見を引き出す

2. 定性的に踏み込む
経験した出来事について、より詳細に描写させる

3. 仮定法で問う
仮定上の過去や未来を想起させる方法

例えば、「もし仮に、時計の針を戻すことができるとしたら、あなたは職場の中で、どんなリーダーシップを発揮しますか?」、「もし仮に、あなたがこの職場のリーダーだとしたら、職場の何を変えますか?」といった問い

「4. ジレンマを問う」
問いの中に「ジレンマ状況(にっちもさっちもいかない状況)」を入れ込み、思考を揺さぶる方法

上記の問いを、議論テーマに合わせてChatGPT活用して作成するのがオススメです。

例えば、マーケティング計画策定に関して上記の問いを当てはめてChatGPTに出してもらうと下記のようになります。

参加者の意見を引き出すための問いをChatGPTを活用して出した例

3. 議論の質を高める

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