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LGBT以上に理解がされないAceというマイノリティ

 かつてTwitterでAceというか、アセクシャルについて記された漫画が出回っていて、その時私は一応嬉しかったのですが、何となく違和感も感じてはいました。

 それについて、的確に言語化してくれている記事があったのでシェアします。

これは「アセクシャルだから」なのか?

 これは「アセクシャルと同級生が同棲する話」というタイトルの漫画なのですが、そもそも主人公両方男性で、しかもホモロマンティックでも無いのに「同棲」という言葉を使う時点で違和感があります。

 漫画の詳細は次の記事が適切に述べてくださっています。

 私がもっとも違和感を抱いたのは、主人公がアセクシャルを自覚する場面です。

 主人公の男性に自分の胸をやたら触らせようとする女性が出てくるわけですが、これ、付き合ってもいない女にそんなことされたら、アセクシャルじゃなくても普通に「痴女」「気持ち悪い」と感じるんじゃないでしょうかね?

 仮に恋愛感情を抱いていたら、自分の体を触らせるんじゃなくて、相手に好意があることを伝えるものだと思いますし、それはAceに限らないと思うのですが、どうでしょうか?

 要するに、この一点から見ても、この漫画の作者はどうも「マジョリティとアセクシャル」とを対比させているのではなく、「『自分の中の恋愛観』と『自分の中のアセクシャル』」とを対比させている、自分の世界の中でしか通用しない作品を描いているようにも見えるのです。

「恋愛指向」への無理解を感じる

 リンク先の記事では「アセクシャルにふれてアロマンティックには触れていない」という、アロマンティック当事者としての不満が記されています。

 もっとも、日本では「アロマンティック・アセクシャル」を「アセクシャル」と呼ぶことが多いので、そうした慣習に従っただけかもしれませんが、それを考慮しても「恋愛=性愛」の意識があまりにも強烈すぎるように感じるのです。

 冒頭で述べた「同棲」の一言も、そうです。

 この「同棲」とはどういう意味なのか。「日本大百科全書」の解説をコトバンクから引用します。

男女が同じ家にいっしょに住み共同の生活をすること。法律上の結婚をしている男女が同棲(同居)することは、法律上の義務でもある(民法752条)。これに対して、現実に同棲していても婚姻届を出さない限り法的な夫婦関係は生じない。しかし、その関係が社会的にみて夫婦関係の実質を備えていると承認される場合には、内縁の夫婦として、ある程度まで法的保護の対象となる。たとえば、一方がその関係を不当に破棄した場合に、相手方は慰謝料を請求できる。もっとも、たとえば男に妻がありながら他の女と同棲しているような場合に、その女にどの程度の法的保護を与えるかについては、まだ定まった見解がないが、一定の条件のもとで、このような場合にも法的保護を認めようとする傾向にある。[高橋康之・野澤正充]

 ここでは「男女が」と書いてありますが、内容をよく読むと内縁(事実婚)に準ずる関係である、ということが判ります。事実婚と認定されるかは「社会的にみて」判断されるということですから、同棲自体は事実婚よりも広い概念ということになります。

 そうだとすると、恋愛感情がある場合ならば、男性同士でも「同棲」と言えるでしょう。しかし、恋愛感情がない場合はどうでしょうか?

 この主人公はアロマンティック・アセクシャルであり、ホモロマンティック・アセクシャルでは、ありません。ならば、男性との「同居」を女性との場合同様の「同棲」ということは、明らかに不適切です。

 もしも「アセクシャルってことは、相手の性別も気にしないんだろ」と、この漫画の作者が思われていたのだとしたら、それは残念です。

ホモロマンティック・アセクシャルを表した漫画

 もっとも、Aceを題材に取り上げてくださったこと自体は有難いことです。

 ただ、本当に同性と「同棲」しているアセクシャルもいます。そのことを取り上げた漫画を紹介します。

 これはよく出来た漫画だと思います。

 我々が一般に「百合」「女性同性愛者」と呼ぶのは「ホモロマンティック・レズビアン」です。レズビアンは同性に性愛を抱く女性のことです。

 一方、同性に恋愛を抱くが誰にも性愛は抱かないのが「ホモロマンティック・アセクシャル」です。

 LGBTの内「LGB」は「性的指向」の話なので、アセクシャルの人は含まれません。だから、LGBTに理解がある人でもアセクシャルが理解されないことがあるのです。

 特に、「性愛=恋愛」と思い込んでいる人にとっては「女性を好きになるならレズビアン、誰も好きにならないのがアセクシャル」と無意識に思ってしまっているかも、知れません。

 そうすると、「アセクシャルだけど女性同士で同棲している」というのが中々理解されないのです。

レインボーフラッグに含まれない人々

 LGBT運動の象徴となっているレインボーフラッグですが、Aceの人たちの中にはこの旗に包括されない人が多くいます。それはレインボーフラッグの意味を知ると判ることです。

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