「不同意堕胎」?これは“殺人”が適用されるべき事案だ!――生命軽視の医療利権複合体

 「不同意堕胎致傷事件」のニュースが流れてきました。

 医者による不同意堕胎ですが、これは氷山の一角だといえます。

医師が赤ちゃんを殺しても“執行猶予”の可能性?

 この事件のあらましは、報道によると次のようなものです。(引用元:毎日新聞

 逮捕容疑は5月17日午後1~5時ごろの間に、勤務先の同病院で20代女性に麻酔薬を飲ませて、もうろう状態にさせ、女性の同意を得ずに堕胎し、妊娠約2カ月の胎児を流産させ、女性に全治約1週間の傷害を負わせたとしている。藤田容疑者と女性は知り合いだったといい、女性が妊娠したことを藤田容疑者に相談したところ、「診察してあげる」と病院に呼び出されたという。同月19日に女性が主治医の産婦人科医の診察を受けたところ、胎児の心拍が聞こえず、主治医が岡山西署に通報した。女性は「堕胎するつもりはなかった。許せない。病院でいつの間にか寝てしまった」と話しているという。

 勝手に麻酔薬を飲ませた件についても、医師法や薬事法に抵触しそうな行為ですが、一人の赤ちゃんの命を奪った行為にしては、とても軽い刑罰が適用されます。

 それは「不同意堕胎致傷罪」です。『刑法』には次のように記されています。

第215条  女子の嘱託を受けないで、又はその承諾を得ないで堕胎させた者は、六月以上七年以下の懲役に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。
第216条  前条の罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

 最後の「傷害の罪と比較して、重い刑により処断」というのは判りにくい日本語ですが、横山ロード法律事務所によると次のようです。

傷害の結果が生じた場合については、不同意堕胎罪の刑罰である6月以上7年以下の懲役と傷害罪の刑罰である15年以下の懲役または50万円以下の罰金を比較し、上限は重い傷害罪の15年以下の懲役とし、下限は重い不同意堕胎罪の6月以上の懲役とします。(不同意堕胎致傷罪

 つまり「半年以上、15年以下の懲役」ですが、これは下限が5年以上の殺人罪のケースとは異なり初犯だと執行猶予が付く可能性も少なくない量刑です。(3年以下の懲役だと、初犯の場合は大抵執行猶予が付きます。)

他の量刑と比べて顕著な“生命軽視”の傾向

 傷害罪というのは「他人にけがをさせた罪」です。

 例えば、お互いに言い分のある喧嘩でついカッとなって怪我をさせてしまった場合、それは確かに悪いことではありますが、本人だけに責任があるとは言い切れませんし、十分に反省していると再犯の可能性も低いといえます。

 なので、そういう場合に執行猶予判決を下すことが可能なように、傷害罪の下限は罰金刑となっており、懲役刑になった場合でも初犯だと執行猶予が付くケースも、少なくありません。

 が、不同意堕胎致傷罪はそれとは些か意味合いが異なります。

 仮に女性と取っ組み合いの喧嘩になって、怪我をさせてしまった場合ならば「懲役6か月、初犯なので執行猶予もつける」という判決が下っても、特に問題があるとは言えません。

 しかし、不同意堕胎致傷罪というのは単に女性を怪我させるだけではなく

・胎児(赤ちゃん)の生命を奪い
・その両親に「我が子を殺させる」という多大な精神的苦痛を与え
その上で、母親に怪我をさせる

ということであり、傷害罪とは比べ物にならないほどの重罪です。

 そもそも、不同意堕胎罪自体が「六月以上七年以下の懲役」とは、軽すぎます。これだと「赤ちゃんを殺しても、大人をケガさせた場合よりも軽い罪」になる場合もあり得る、ということです。こんな生命軽視の法律はありません。

 現在の『刑法』の規定は主に明治時代にできています。その頃は堕胎が「必要悪」とされている面もあった上に、殺人罪の量刑も今より軽いなど、現在ほどに生命尊重の気風があるとは言い難い時期でした。

 しかし、今はそう言う時代ではありません。不同意堕胎罪の厳罰化を行うべきです。

医師による不同意堕胎が「自然流産」で処理された例も

 今の日本において堕胎の数は、統計に出る『母体保護法』上の人工妊娠中絶の3倍から5倍はあると言われています。一説には、十倍近くあるという人もいます。

 こういうと、極稀に「中絶の件数を水増しするな!」という人が出てくるのですが、そういう人の多くは望まない妊娠の現場に立ち会ったことの無い人でしょう。

 特に十代女性や訳あり女性に対する中絶ではプライバシー保護の観点から敢えて届け出を行わないケースもありますが、中には医師が金儲けのために敢えて届け出を行わないようにするケースもあります。(闇中絶の費用を報告しなければ脱税もしやすくなります。)

 こう言っても「中絶に否定的なことを言う人は、全員女性差別主義者」等と言う意味不明な妄想を言う方もいるので、念の為にフェミニズム団体NPO法人WANのホームページに載っている実例を紹介します。

私は、ある病院にて中絶するよう言われ、中絶しました。
その時は、中絶しなければ死ぬと思っていました。
 
でも、中絶直後、医師は
「あのまま妊娠を継続していれば無事出産できた可能性が高かった」
と話したのです。(証拠あり)
中絶後の説明会で、病院は、
「中絶する必要はなかった」などと笑いながら
話していました。私は、大変ショックを受けました。
 
カルテを取り寄せると、本件人工妊娠中絶は
「自然流産」だと処理
されていました。
 
裁判では、カルテに診断した形跡のない病名が認定されました。
裁判の途中から、聞いたこともない病名が主張され、
それが、認定されました。

病院は、母体保護法で定められている中絶のルールは、
すべて無視し、中絶に際し同意書も取らず、
死産書(有印公文書)にも、
自然流産だと虚偽の記載
をしています。

 現実問題として、医者が中絶を届け出なかったり、自然流産だと処理したりしても、このように裁判沙汰にならないと表には出ません。また、裁判沙汰になっても、日本の司法は多くの場合医療利権複合体側に有利な判決を下します。

中絶は医者にとってドル箱だという現実

 現行の法制度は、特定の状況下において中絶の選択を迫るように誘導している感があるのですが、そのように仕組んでいる最大の勢力は、紛れもなく医療利権複合体です。

 そもそも、中絶を巡る議論で一部のプロチョイス(という名のアンチライフ)の人が設定する「女性の権利VS胎児の生命」という対立軸自体が、意味不明なものです。

ここから先は

1,620字
この記事のみ ¥ 100
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

ここまでお読みくださり、本当にありがとうございます。 拙い記事ではありますが、宜しければサポートをよろしくお願いします。 いただいたサポートは「日本SRGM連盟」「日本アニマルライツ連盟」の運営や「生命尊重の社会実現」のための活動費とさせていただきます。