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立憲民主党の派閥・グループについて解説します!

 立憲民主党は自民党とは違い、派閥政治が嫌いな議員・党員が比較的多いという特徴があります。
 しかし、どんな組織も大きくなれば派閥は出来るもの。そこで自然発生的に「グループ」というものが形成されており、概ね立憲民主党の前身政党が母体となっています。
  立憲民主党の法的な前身政党については過去に動画で説明しました。

 しかし、母体となる政党があるとは言っても、やはり自民党の派閥と比べると立憲民主党のグループは離合集散が激しく、他のグループとの掛け持ちも認められているなど、かなり「緩い」のが特徴。
 明確に「派閥」としているグループは小沢派と重徳派だけです。
 しかも自民党が派閥解消パフォーマンスをしているのに見習って立憲民主党のグループも解散の動きがあります。
 そんな立憲民主党のグループについて解散されていないうちにまとめてみました!
 表記は「通称(グループ名、母体となった政党)」として表すことにします。


保守系

泉G(新政権研究会、旧国民民主党)

 新政権研究会は旧国民民主党の系譜を引くグループです。立憲民主党代表の泉健太先生が率いていますが、現在会長不在で政治団体としても近く解散するという報道があります。
 旧国民民主党は野党第二党であった保守政党で、旧立憲民主党と対等合併して現在の立憲民主党を結成しました。泉健太先生は旧国民民主党の政調会長でした。
 もっと新政権研究会に派閥としての実態は無きに等しく、マスコミへの露出も殆どありません。実態は旧国民民主党組の同窓会的な組織と言って良いでしょう。
 会長は不在ですが、一応代表者は泉健太先生の資金管理団体である「市民政策ネットワーク」の会計責任者・田中栄一氏となっています。なお、新政権研究会の会計責任者は森本真治先生です。
 旧国民民主党は民主党の法的な後継政党でもありますが、民主党への逆風が続き、さらにベテラン議員が次々と去っていく中で生き残った、中堅・若手ながら実力のある議員が多く所属していることもこのグループの特徴です。

小沢派(一清会、日本未来の党)

 こちらは旧国民民主党の相談役であった小沢一郎先生を会長とする派閥です。新政権研究会と旧国民民主党系ということは似ていますが、系譜は日本未来の党(紆余曲折を経て自由党に改称したのち、旧国民民主党へ合流)の流れです。
 同じ旧国民民主党でも新政権研究会が民主党以来のいわば「民主党本流」を歩んでいるのに対して、日本未来の党は民主党政権の公約違反に反対して造反した議員や故・稲盛和夫先生らが主導して結成した政党で、そのような経緯から今の立憲民主党の執行部とも溝があるかのように報道されています。
 もっとも、私が見たところでは特に執行部と対立している感じはしませんが、毛色が違うのは事実です。
 例えば、国民新党出身の保守派である野間健先生がいるかと思えば、社会等の系譜を引く左派でありながらAV本番禁止も訴える堤かなえ先生など、個性派が勢ぞろい。
 さらに落選議員にも参加資格があるなど、他の派閥・グループとは大きな違いがみられます。

重徳派(直諫の会、旧日本維新の会)

 こちらは会長が代表政務室長代理の重徳和彦先生で、旧日本維新の会の系譜を引きます。
 重徳先生自身は毎年皇居清掃奉仕団と一緒に靖国神社へ参拝するなど、バリバリの保守派です。少なくとも、岸田文雄首相や河野太郎大臣よりかは右でしょう。
 なお、ここで言う旧日本維新の会は現日本維新の会とはやや異なります。より正確に言うと、旧日本維新の会が分裂を繰り返した末に民進党へ合流したグループと今の日本維新の会の前身のおおさか維新の会を結成したグループとに収斂されていったので、現日本維新の会とはかつては仲間でしたが、今ではあまり関係がありません。
 とは言え、民主党政権時代に民主党に所属していなかったことが入会の条件であるなど、民主党色が薄いことも特徴です。
 実際、重徳先生自身が民主党政権時代は自民党員でした。

野田G(花斉会、日本新党)

 野田佳彦元首相を中心とするグループです。大阪府連顧問の藤村修先生が会長です。日本新党の系譜を引く議員が主で、松下政経塾出身者が多いです。
 過去には野田佳彦元首相の他、齊藤蓮舫氏を民進党代表に擁立するなど、影響力の強いグループでした。
 一般に保守系に分類されていますが、野田・齊藤両氏が代表であった頃の民主党・民進党が特に保守色が強かった訳ではなく、またグループ内での思想的統一がある訳でもありません。
 とは言え、立憲民主党への参加を理由に民社協会から除名された議員も所属しているなど、思想的には国民民主党に近いものの様々な理由で国民民主党に参加しなかったような人たちがいるのも事実です。
 また消費税増税を財源に社会保障の強化を目指す「大きな政府」路線であるのが、他の派閥・グループとの違いであるとも言えます。

岡田G(小勝会、新生党)

 岡田克也元外相が会長のグループです。前身政党は仮に新生党としましたが、小選挙区で勝てるだけの地盤がある議員によって構成されているのが特徴です。
 新生党の系譜を引くのは小沢派も同じで、地方の小選挙区で勝つ以上、自民党的な要素のあるグループとなります。団結力も比較的強いと目されます。
 一方で民進党分裂までは長く党の主流派であったグループでもあります。その点が小沢派等とは大きく異なります。
 また、これらの特徴はイデオロギー色が強くないということでもあります。よく言えばリアリストです。
 民進党と希望の党の合流に反対した議員らによるグループであり、2017年の総選挙では民進党が公認候補を出さなかったため、必然的に小選挙区で当選できる議員しか当時の民進党にはいませんでした。そのことが却って「比例復活が無くても当選できる」という強みになっています。

シナ派(自誓会、希望の党)

 階(シナ)猛氏を会長とするグループです。民主党政権時代に執行部と対立しつつも離党はしなかった人たちが、民主党の下野後に結成しました。その後、メンバーは民進党を離党し希望の党に合流しています。
 当初は派閥を作るつもりで細野豪志氏を会長としていましたが、肝心の細野氏が自民党に行ってしまうというハプニングが発生するなどしています。
 政策的には小沢派と大きな違いはないのですが、シナ氏が「自民党を利してでも小沢を倒す!」という信念をお持ちであるとしか言えない強硬な反小沢路線なので、小沢派とは対立関係にあると言えます。

リベラル系

近藤G(サンクチュアリ、日本社会党)

 近藤昭一先生を会長とする革新派のグループで、日本社会党系です。
 かつて社会党は「共産党よりも左」な人も多かったのですが、今ではマルクス主義者ではない人たちも所属している、緩いグループになっています。
 衆議院副議長の海江田万里先生らも所属しており、党内最大グループとも言われています。
 左派には内ゲバ癖のある方が少なくありませんが、サンクチュアリは野党共闘を推進している他、保守系グループとも連携することのある、穏健なグループになっています。
 起源が社会党にあるとはいえ、年々社会党色は薄れていると言えるでしょう。

菅G(国のかたち研究会、新党さきがけ)

 旧民主党の結党者でもある菅直人元首相のグループです。新党さきがけの系譜を引きます。
 サンクチュアリと掛け持ちしているメンバーも少なくありませんが、反小沢色が強いのがサンクチュアリ等との大きな違いです。
 陸山会冤罪事件では検察による国策捜査を非難せず、むしろ「脱小沢」宣言をして非難を浴びました。

吉田G(社会民主主義フォーラム、社会民主党)

 会長は大分県連代表の吉田忠智氏で、社会民主党出身の議員・党員らが所属しています。
 一般党員も所属している唯一のグループであり、このことは他のグループも見習ってほしいものです。
 同じリベラル派の菅直人元首相ですら「論憲」「創憲」を唱えているこのご時世で「護憲」を貫いている数少ないグループでもあります。立憲民主党の党是である論憲とどう整合性を付けるのか、今後に注目です。

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