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過去の日本で「氏族」と「家族」の双方が存在した意義

 明治維新までの日本では「氏族」(本姓)と「家族」(名字)とが区別されていた、と言う話を以前投稿したのですが、それだと「氏族だの家族だの、二つもあるとややこしい!」と言う人も出てくるでしょう。
 と言うよりも、そう言う人達が多数派であったからこそ、明治維新の時にまず「氏族」が廃止されて、さらには現在、なんと「家族」まで無くそう、という動きになっている訳です。
 政府からすると、マイナンバーだけで国民を管理できますから、別に「家族」を「戸籍」に登録する必然性は政府側には無い、それで戦後何十年も保守政党が政権与党であったはずなのに、マイナンバーの議論は進む一方、「家制度復活」の議論は一向に進みませんし、ましてや「氏族制度復活」の議論など、行われる気配はありません。
 私は、ここで「マイナンバー反対!」と言いたいわけでは、無いのです。便利な制度は大いに活用したらよいとは思いますが(全面賛成と言う訳でもありませんが、この記事ではそう言う議論はしません)、ただ、便利さの過程で失われたものの大切さを、歴史を学ぶものとして伝えていきたい、と考えています。

 明治政府は「氏族」を廃止して「家族」に統一したわけですが、簡単に言うと「氏族」は「タテの関係」であり「家族」は「タテとヨコの関係」です。
 「氏族」は、男系で継承されるのが原則ですが、女系や養子縁組で継承された例もあります。しかし、いずれにせよ、「親子関係」又は「親子成り(準親子関係)」で継承されていく、と言うルールがありました。
 これは、今の『民法』における「血族」に近い概念ですね。「血族」と言うのは「養子縁組」でも「親子関係」があれば同じ「血族」です。「氏族」の「本姓」と言うのは、いわば「血族の名前」です。
 一方、「家族」については「婚姻」でも新たに「家族」となることができます。今の『民法』で言うと「血族」と「姻族」の両方が「家族」であり、その「家族の名前」が「名字」です。

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