選択と集中。
もともとはビジネス用語ですが、「少ない資源を効率よく使うために分野を絞る」という考え方です。これは、育児や教育にも当てはめることができます。
小さいうちはお子さんの可能性がどこにあるのか、手探りでいろんな体験をさせるご家庭が多いことでしょう。それでも、ある程度の年齢に達すると伸ばす分野を選び、リソースを集中することがカギになってきます。
ちなみに、経済的な余裕があるかどうかはあまり関係ありません。ここでいう資源とは、時間です。
誰もが平等な「時間」をうまく使えば経済的なハンデさえも埋めることができます。逆に中途半端に色々手を出しすぎて、大事な時間を無駄使いすると、かえって非効率になります。何に時間を割いて、何を削るかの判断がきわめて大事です。
「ある程度の年齢」がいつかは一概に言えませんが、平均すると10歳くらいでしょうか。いわゆるゴールデンエイジに差しかかり、さまざまな能力が飛躍的に伸びる時期です。
この時期までに好きなことや得意なことが見つかっていれば、その分野に一気に投入することで目覚ましい成果が期待できるでしょう。
では、具体的にいくつの分野に絞ればよいのでしょうか?
実は必ずしも1つに絞ることはありません。よっぽどの得意分野なら1つでも構いませんが、大半のケースではリスクヘッジも必要です。今はあらゆる情報が簡単に手に入る時代なので、昔の感覚に縛られず、2~3つなら並行してもよいでしょう。
決断する時期が早い、と思うかもしれませんが、どの分野も競争が激化しているのが今の時代です。スポーツや音楽などは特にそうでしょう。「1万時間の法則」のとおり、どの道もそれなりの時間がかかるので、方向性を予め決めておくと心理的にも楽です。
近年の低年齢化する早期教育ブームはその典型ですが、それが本当に正しい「選択と集中」なのかは怪しいところです。なぜなら、たいていはお子さんの意志でなく、受動的だからです。教育ビジネスの煽りに惑わされず、適性があるかどうかの見極めも大切です。
「選択と集中」が親御さんによる一方的なものだと、単なる”押しつけ”になってしまいます。お子さんとよく話し合って、本人が望む道を選ばれるとよいでしょう。