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医師に伝えるコツ

昨夏の第12回日本在宅薬剤師会学術大会でお話しした内容について書きます。
「在宅の基礎的なこと」というシンポジウムに登壇させて頂きました。

姜 琪鎬(医療法人みどり訪問クリニック)
飯山教好(株式会社レーベンプラン レモン薬局三方原店)
橋本倫季(ファルメディコ株式会社 ハザマ薬局)
池田真一(医療法人ハートフリーやすらぎ 居宅介護支援事業所ハートフリー)
※敬称略

錚々たる方々とご一緒させていただきました。
大会長の神谷先生から在宅をこれからやってみたいという方に向けて話してほしいとのことでかなり自由にやらせていただきました。
もしかするとこの時の体験がこのブログを始めるきっかけのひとつになっているのかもしれません。
飯山先生が在宅の導入からはじめての訪問やアセスメントについてお話しいただけるとのことでしたので、僕はその先の話をしようと考えました。

僕が話したのは、人として自然な距離感に立ち返ろうということでした。
他職種との連携や医師とのコミュニケーション、薬薬連携をうまく進めるためには薬剤師という前提をまず捨てようというコンセプトを実例を交えてしました。
昨日のブログでも書きましたがこれは僕の中でかなり大事にしている姿勢です。

具体的には報告書を医師に読んでもらえない、場合によってはそれにも関わらずFAXし続けている。報告書と薬歴あるいは自分用のメモを混同してしまって読みにくくしてしまっている。介護士さんや看護師さんの顔が見えない・連携が取れていない。結果情報不足で効果的なアセスメントができないなどの悩みにアプローチしました。

なぜこういった悩みが生まれるのか。
その原因は薬剤師特有の対人距離感にあると考えています。
学生実習の頃から刷り込まれた常にモノを介在したヒトとのコミュニケーション習慣です。

それが顕著に表れているのが疑義照会です。この場合、処方箋がモノで医師がヒトということになります。おそらく多くの薬剤師が「医師にうまく伝わらない」「医師をイライラさせてしまった」を経験していると思います。
どうしてうまく伝わらないのか、イラつかせてしまったのか。

そこには2つの問題があります。
それは伝えるタイミングコミュニケーションの前提条件です。
薬剤師という前提を捨てて、人として当たり前の距離感に立ち返ることで解消できると考えています。

1)伝えるタイミング

解決策は「決断する前に情報を提供する」ということです。
医師も薬剤師と同様にPDCAサイクルを回しながら治療にあたっています。
採血をして(Check)医学的に評価し(Assessment)治療方針を決めて(Plan)処方して(Do)患者さんを送り出します。
この一連のサイクルのDoより前に情報を提供するのがベストです。
引っ越しするために荷物を全てダンボールに梱包してトラックに積み込んだ後で同居人から「あのぬいぐるみを箱から出して、このお皿を追加で梱包して欲しい」と言われたらどうでしょう。
Doの後にそれを覆そうとする情報を提供するということはこういうことです。
一度回したPDCAをやりなおす(一度押した押印を撤回する)必要があるので、めちゃ労力がかかるし、場合によってはイラつくこともあるでしょう。
人として正しい伝えるタイミングに立ち返ることが必要です。

2)コミュニケーションの前提条件

1)を改善してもうまくいかない場合はここを再考してみてもいいかもしれません。学生実習の頃から刷り込まれた常にモノを介在したヒトとのコミュニケーション習慣が原因であると述べました。
そもそも「会ったこともない(前提条件)相手に電話や手紙で話しかけること」が不自然ではないかということです。それも相手の仕事内容に意見するわけですから。
具体的な解決策はシンプルに直接会いにいって挨拶するということです。
泥臭いかもしれませんが人として自然な距離の詰め方かなと思っています。

外来であればCLにご挨拶にいったり、在宅であれば、初回の訪問診療に同席するのが良いと思います。
少し勇気が要りますが、やってみると意外とそうではないことがわかるはずです!

今日もありがとうございました。

いつも読んでくださりありがとうごさいます。みなさんが読んでくださることが活力になっています。