【古典映画】「わが谷は緑なりき」

アカデミー賞各賞受賞の1941年のアメリカ古典映画「わが谷は緑なりき(How Green Was My Valley)」。監督は巨匠ジョン・フォード。

名作と言われてる割には、展開が早過ぎて、俺にはあまり響かなかったなぁ。

19世紀末のイギリス・ウェールズ地方の炭鉱の町を舞台に、そこで暮らす大家族モーガン一家を描いたヒューマン・ドラマだ。

一家の、父をはじめとする5人の男たちは、末の幼い弟ヒューを除いて、皆、炭鉱で働いている。
時代の移り変わりで炭鉱も不況となり、賃金を下げてくる会社に対し、組合を作ろうとして父と対立したり、集会を開いたり、ストライキに突入したり、給料が高いと解雇されたり、そして、兄たちが結婚したり…いろんな事件が持ち上がる。
そんな中、末の弟ヒューは、学校でイジメにあっても、独りでいじめっ子に立ち向かい、熱心に勉学に励み、学校を卒業するシッカリとした少年。
一家初となる上の学校への進学を薦められるが、兄たちと同様、自分の意思で炭鉱夫になる。
また、彼の姉は、新しく赴任して来た牧師と惹かれ合うものの…。

ヒューも牧師も、いくら周りに心ない攻撃を受けようとも、常に誠実な態度で臨む。

それ故に、悲劇に終わることも多いのだが、あくまでも自分の誠実なスタイルを貫くのだ。

ジョン・フォード監督は、第二次大戦勃発前夜、敵への憎しみを捨てて、ただ実直に素直に誠実さを持って事にあたることの大切さを訴えたかったのではないだろうか。

絆の強いモーガン一家を題材とした“人間讃歌”の物語だと思う。

それに、家族とはいえ、時代と共に徐々に(価値観も)移り変わっていく様、日本でいう無常感を表現したともいえるだろう。

ラストは一家の大黒柱だった父親が落盤事故で命を落とす。

母親は、一家を支えるが、集会に独り乗り込んで演説を打つなど、家族を守ることには、とにかく強い。宗教にも学問にも耳を貸さない。実は、最も家族の幸せを体現してるのでは。

ヒューが子供時代を振り返る形で進むが、自分の人生を認めて受け入れるようになるまでは、それが昔日の懐かしい思い出となるまでの長い時間の経過を必要とするのだ。

展開が早いけど、もっとジックリと観て味わいたかったね。



脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。