【古典洋画】「死刑執行人もまた死す」

名作「メトロポリス」を作ったフリッツ・ラング監督の、1943年の古典サスペンス映画の傑作「死刑執行人もまた死す(Hangmen Also Die! )」(アメリカ)をAmazonプライムで。

ナチス・ドイツ占領下のチェコにおいて、ゲシュタポ長官ラインハルト・ハイドリヒの実際の暗殺事件を題材としたもので、犯人を追うゲシュタポや警察などナチス側と、反ナチのレジスタンス・グループとそれに関わる市民との攻防の物語であり、さすがはフリッツ・ラング監督、手に汗握るハラハラドキドキの展開で、80年前とは思えぬ面白さであった。反ナチ・レジスタンス映画の傑作とされる。

“死刑執行人”の異名をとるゲシュタポ長官のハイドリヒは、実際にはクールで冷徹な人物だったけど、この映画では顔を白く塗ってイヒヒヒと笑う狂気そのものの人物として描かれているのはちょっとアレだけど、細かい事実を執拗に探って、関わりがあったとされる人物をトコトン追い込んでいく、警察長官とゲシュタポ連中の恐ろしさよ。

ゲシュタポは、暗殺犯を捕まえるまで、チェコ市民を無差別に殺害することを宣言する。

対する、これまでのレジスタンス活動の意義を説いて、危険が迫って自首をするかどうか悩む犯人を皆で偽証して庇うチェコ市民たち。

結局、レジスタンス側に潜入したナチのスパイだった男を詳細なアリバイを準備して暗殺犯に仕立てるのだ。

ゲシュタポの執拗な恐ろしさが際立つ演出は見事である。最後の、チェコ市民が一致団結して、売国奴であったスパイの男を罠にはめて貶めていくのは目が離せなくてスカッとするね。

図らずも巻き込まれてしまうという当時の政治状況を如実に反映させたサスペンス・ドラマの傑作であった。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。