【ドキュメンタリー映画】「ギミー・デンジャー」

60年代末の、アメリカのガレージロック、「The Stooges」のフロントマンだったイギー・ポップを中心とした音楽ドキュメンタリー映画「ギミー・デンジャー(Gimme Danger )」(2016・米)。Amazonプライムにて。

なんと監督がジム・ジャームッシュだったら、観ない訳にはいかない。

監督は、イギーと親交も深かったようで、イギーと各メンバーらのインタビューと共に、ストゥージズが活躍してた当時のコミックやフィルム、写真などをコラージュしつつ、監督らしい、イギーのハプニング性を全面に出した、ユーモアの効いた現代アートっぽい作風となっている。

イギーとストゥージズ(マヌケの意)は、初期NYパンクとして、3枚のアルバムは持ってたが、そんなに良いリスナーではなかった。MC5の方が良く聴いてたかなぁ。

しかし、有名な「I Wanna Be Your Dog」やピストルズもカバーした「No Fun」、「Search And Destroy」など、好きな曲も多かった。

何よりも、イギーの上半身裸になっての、すぐに客席にダイブする過激なパフォーマンスが話題で、脂肪のないストイックに見える身体は憧れでもあった。確か、イギーのヘロイン中毒でバンドは自然消滅となったと思う。

最も活動した時期には、イギーばかりが話題となって、アルバムは全然、売れなくてセールス的には失敗、後年、評価が高まったらしい。

なるべく言葉を短く簡単にした歌詞で、過激なパフォーマンス、つまりは肉体言語で感情を表現したというイギーは、老いても老いていない容貌で、何かをやるんじゃ、という危ない、スリリングなラジカルさに満ちている。

多分、ドラッグでボロボロだったのだろうなぁ、と容易に予想させる肌の質感がイタイタしい。

けど、予定調和を否定したところから始まる、まさにロックなイギーの生き方は、自分には絶対にできないだけあって、常に憧れの対象でもあった。

ジャームッシュ監督のセンスが光る良質のドキュメンタリーだった。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。