【邦画】「修羅雪姫」

プンプン男が臭う極道の修羅の世界に、復讐に燃ゆる可憐に咲いた一輪の美しくも艶やかな花…相手を抉るような、しかと睨み付ける鋭い眼光、真っ白な雪を大きく染める真紅の血糊、因果に絡め取られる可憐な修羅の運命、あゝ、無情・怨念の伏魔殿の外道の世界…。

これぞ東宝エクスプローテーション映画の代表格、梶芽衣子主演、藤田敏八監督の「修羅雪姫」(1973年)。コレも「人生で観ておくべき日本映画ベスト50」入り。

さすがは小池一夫先生原作、クエンティン・タランティーノ監督(「キル・ビル」)に大きな影響を与えたのも頷ける。

藤田監督の大袈裟かつハッと驚く演出、スゴいゾ!噴水のように高く飛び出す血糊を観てるとワクワクするぜ。まさに“漫画”だけど、なるべくそのままにやってみせた藤田監督の器量の深さよ。梶芽衣子のアップが多い勧善懲悪の目力リベンジ物語。

舞台は明治時代。新しい時代の幕開けとはいえ、欲のままに快楽を貪る悪徳連中が権力を持ち支配して、赤貧に苦しむ人民大衆からのさらなる搾取を続ける。正義、良心、反骨もけっこうだが、所詮は暗い穴蔵の中での繰り言に過ぎない。そして、次は戦争だ。そんな無常で理不尽な世の中で、親の仇と血みどろの復讐だけに燃える、修羅の子として生を受けたお雪は、時代に風穴を開けるべく一服の清涼剤となり得るのだ。

梶芽衣子は、“女囚さそり”よりもコッチの方がええなぁ。眼光だけは鋭く、細腕の殺陣も素晴らしい。ニコリともしない冷酷な表情の凛とした美しさよ。

お雪の味方になる男の発行する新聞が“平民新報“ってのが良いじゃないか。

4人の連中に夫と息子を無惨に殺され暴行された妻は、1人を殺して逮捕されて、獄中でお雪を出産して息絶える。
お雪は道海和尚に預けられて、両親の仇打ちのために厳しい剣術の修行に励む。
20歳になったお雪は、親の仇である3人を1人1人探し出して復讐するが、最後に、お雪も、連中の娘に親の仇と刺されてしまう。

因果応報!因果応報!

“業”と情念をテーマに描く、コレこそカルト作品だろう。強烈な目力の梶芽衣子、マジ、シビれるぜ!


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。