【洋画】「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」

2015年のイタリア映画「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ(Lo chiamavano Jeeg Robot)」(ガブリエーレ・マイネッティ監督)。

日本語のタイトルがちっとアレレだけど、俺好みの楽しい映画だった。

永井豪さん原作のロボットアニメ「鋼鉄ジーグ」を材料にして、イタリアの犯罪界を描いたユーモアたっぷりの傑作だったね。フィリピンで「コンバトラーV」が大人気だったように、イタリアでは「鋼鉄ジーグ」が流行ったのかねー。

主人公は、犯罪と過激派の爆弾騒ぎに怯えるローマの下町で、窃盗を生業としてる冴えない孤独な中年男のエンツォ。
警察に追われて飛び込んだ川で、不法に投棄された放射性廃棄物のタンクに触れて、その中身を飲み込んでしまう。
それから体調不良に悩まされるが、ある麻薬取引で、撃たれて工事中のビルから落ちてしまうものの、かすり傷一つなく、自分が鋼鉄の肉体と怪力を手に入れたことに気付く…。

スパイダーマンと一緒で、ある意味、“他力本願”で尋常じゃないパワーをものにするが、だからといってヒーローに目覚めるでもなくて、まずはその力を使ってATM強盗を働く。

ひょんなことから麻薬取引で殺された取引相手の娘アレッシアを助けることになって、そのアレッシアがTVで放映されてる「鋼鉄ジーグ」の大ファンで、尋常じゃないパワーを持ったエンツォを鋼鉄ジーグの主人公シバ・ヒロシと重ね合わせて慕うようになるのだ。

またアレッシアが、親からも虐待されて、カワイイから父親の犯罪者仲間から性的虐待も受けたりして、精神病院に通ってた過去を持つ超メンヘラ。

孤独だったエンツォもアレッシアの奔放さと繊細さに徐々に惹かれていく。

自分のためにしかパワーを使わないエンツォに対して、アレッシアは「人類のために力を使い、闇の日から世界を救って」と説得する。

そして、エンツォは狂気のマフィアのボスとの闘いに臨む。このボスがホントにヤバい奴で、常にいつブチ切れるかもわからない態度をしてて人をバンバン殺していく。そういえば、「レオン」にも似てる。

そのマフィアのボスも、麻薬取引を巡る抗争で焼き殺されそうになって川に飛び込み放射性廃棄物を飲み込んでしまう。そして、エンツォと同じく超人的パワーを持ったマフィアのボスとの闘いが始まるのだ。

ダークヒーローとでもいうべき設定だが、下町に巣食う犯罪者がメインで、ヒロインはメンヘラ(結局、撃たれて死んじゃう)、彼女とのアレがヘタクソで上手くできない、敵も同じくヤバい犯罪者、事故ったクルマに閉じ込められた子供を助けたりもするけど。ラストに目覚めてアレッシアが縫った鋼鉄ジーグのマスクをカッコよく被るが、それがまたヘタクソなマスクで…。

シリアスながらも、なんかズッコケで笑っちゃうイタリア映画ならではのB級感。素晴らしいね。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。