【映画】「ある人質」

「ある人質 生還までの398日(Ser du manen, Daniel)」(2019・デンマーク他、ニールス・アルデン・オプレブ監督)。

2013年に、IS(イスラム国)に捕まり、1年強も人質として監禁されていたデンマーク人の24歳の青年カメラマン、ダニエル・リューが奇跡的に生還した実話を映画化したもの、というから、ISのゲリラと闘ってなんとか脱走したのかと思っていたけどそうじゃなくて、デンマークのダニエルの家族が、要求された巨額の身代金を四方八方、手を尽くしてなんとか用意して払い、釈放されたのだった。やっぱりランボーみたいにはいかないよな。

ダニエルは体操選手だったが怪我で引退、かねてからの夢だったカメラマンに転身し、戦争という非日常の中で生活する一般市民の日常を撮って世界に伝えたいとの思いから、シリアの非戦闘地域を訪れる。

しかし、現地の情勢が変化、地区を支配したISに誘拐されてしまう。無機質な部屋のコンクリートの床に寝転がされて、少量の食事を与えられ、「お前はCIAだろう?吐け!」と尋問される拷問が続く地獄の日々を送ることになる。

そんなに凄まじい拷問ではないけど、ISだから、いつ首チョンパされるかもしれず、知らない外国で殺されるという激しい恐怖と不安によって絶対PTSDにでもなっただろうなぁ。描かれてないけど。

でも、地獄のような日々でも人間は慣れてくるんだね。同じ人質となった人達に体操や運動を教えたり、一緒にゲームに興じたり、地獄のような日々をも日常にしようとしてる。

一方で、金が欲しいISと救出したい家族との橋渡しをビジネスとしてるエージェントがいるんだね。デンマーク政府がテロリストには絶対金を支払わないという方針なので、エージェントを通して、ISから要求された巨額の身代金を用意するために、家族は様々な関連団体、クラブ、企業にも募金を呼びかけて講演も行う。

ダニエルの行動を批判して一番辛く当たってた長女が、絶対に諦めないと様々なアクションを起こす。両親、長女、妹のこの結束はスゴい。ダニエルの恋人は離れていくけど(救出後に復縁)。

日本人もISの犠牲になってるよね。大使館や政府は絶対に信用できないし、何もしないし、大衆も自己責任しか言わないし。いつも自分らは言い放しで責任取るなんてことは皆無なのに。

少しでも税金を払って戸籍や住民票があるんなら、国は渡航の日本人を守ることは最低限の義務なのだ。例え、反対を無視して行ったとしても。また行く方もあらゆるリスクを覚悟して行くべきなのだ。

ダニエルと同じ境遇のイギリス人ジャーナリストが、「私は決して彼らの憎しみに屈したくはない。どんな状況であろうと最期まで愛を語りたい」と話して殺されるが、やっぱり憎しみは新たな憎しみしか生まないのだ。

しかし、ダニエルも救出されたとはいえ、あれだけの多大な寄付を受けたのだから、本国でも生き辛いだろうなぁと思うのは日本人特有の悪しき考えだろう。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。