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「暗い日曜日」

「暗い日曜日(Ein Lied von Liebe und Tod)」(99年、ロルフ・シューベル監督)。自殺ソングとして有名な“暗い日曜日”を巡る物語。

雨の日曜日にピッタリかもしれないが、“Gloomy Sunday”(暗い日曜日)は、ある女が死んだ恋人を想って嘆いて自殺するという歌詞で、1930年代にハンガリーで発表されて世界的にヒットした。欧州では、ナチス席巻期の不安な時代ということもあって、この曲を聴いて自殺する人が相次いだという(都市伝説の部分もあるらしい)。放送禁止にもなった。

俺も昔、NWバンドのザ・アソシエイツのカバーでよく聴いて知ってた。ヴォーカルのビリー・マッケンジーはウツで自殺したけど(!)。日本では美輪明宏などシャンソンでも聴いてた。

情熱的だけど深い悲しみに満ちており、でも、優しく甘みを匂わせるような名曲だと思う。聴いてると空想の世界だけで何度でも自殺してる、多分。

ユダヤ人レストラン・オーナーのラズロと恋人のイロナは、店での演奏のためにピアニストのアンドラーシュを雇う。アンドラーシュとイロナは惹かれ合い、アンドラーシュはイロナの誕生日に「暗い日曜日」を作曲して贈る。やがて「暗い日曜日」はレコードとなって大ヒット。しかし、曲を聴いて自殺するレストラン客が相次いだ…。

ブルネットの髪に、エキゾチックな雰囲気の、男なら誰でも必ず惹かれるであろう顔立ちの美女イロナに目が釘付けになってしまう。美しいヌードもあるし(笑)。

このイロナが、ラズロとアンドラーシュの2人の男の間を上手く立ち振る舞って操るから(当然意識などせずに)、やっぱり女は怖い。そりゃあ、こんな女にキスされたら、なんでも言うことを聞いちゃうよね。

また、ラズロが、表向きは、恋愛は自由であるべきという考えの持ち主で、アンドラーシュとイロナの蜜月を許して、奇妙な三角関係になるから不思議だ。俺なんか激しい嫉妬心と独占欲が生まれるから絶対に無理だな。理解できん。

アンドラーシュがいきなり銃で自殺して、ラズロは強制収容所で死んだ後も、イロナはレストランの常連客でナチス親衛隊長官となったハンス(イロナに片思いだった)に言い寄られて寝ちゃうし、3人の誰の子かハッキリしないけど子供を宿す。

40年後にその子供がレストランのオーナーになって、おばあちゃんとなったイロナが昔を回想する形で物語は進む。

ハンスはたくさんのユダヤ人を救ったナチス高官として戦後、商社を起こして有名になって妻とレストランで食事中、イロナの当時の写真を見て心臓発作を起こして死ぬ。

最後まで生き残ったのはイロナだけで彼女を巡って男たちが運命を、生死を左右されるのだ。ホントに“いい女”って、決して男の手の内には堕ちて来ないものなのだなぁ。シミジミ。

映画で何回か出て来るが、暗い日曜日のメッセージの意味とは、愛、友情、裏切り、別れ…何があっても、時代がどうであれ、最期まで、どこまでも強く生き残るってことじゃないだろうか。いい映画だった。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。