「キリスト信徒のなぐさめ」
クリスチャンの鑑三ちゃんといえば、昔、「余は如何にして基督信徒となりし乎」を読んだと思うけど、同じ岩波文庫の処女作を。
愛妻の病気による死から、事業の失敗と失業、そして極貧、腸チフスと風邪をこじらせての重病化、その間、赴任した学校で、天皇の署名入り「教育勅語」を授かる式で、まともに挨拶をしなかったとして、「不敬だ!国賊だ!赤だ!」と散々、口撃されて、精神衰弱になるまでに落ち込み、それをキッカケに目指してた教会の牧師にもなれず…。
とにかく不幸の連続で、宗教に慰めを求めるのも仕方がなかろうて。
そんな鑑三ちゃんが、度重なる逆境から、キリスト教信者として再生を綴った内容だ。
ココで初めて、形式的な会員制度で成り立っている教会なんぞいらん、教会なんぞなくても、教えを伝える先生と教えを乞う弟子の関係を中心とした聖書研究グループでもあれば充分だ、神は我々の心の内に存在するから、という日本型「無教会主義」を提唱しているのだ。
「苦しめる信徒を代表し、身を不幸の極点に置き、キリスト教の原理を以て自ら慰めんことを力めたるなり。神は神聖なる心霊上にある」と言ってもなぁ。祈るだけでは食えないしね。
鑑三ちゃんは多分、現実的な世渡りがヘタだったのでは。
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。