「苦海浄土」

「苦海浄土〜わが水俣病」石牟礼道子

郷土作家による水俣病の記録文学で有名な作品。俺的には文章がイマイチでわかりにくいところも多々あったけど、水俣病になった子どもの親や患者家族の、長々と続く呪詛の言葉は凄まじい。コテコテの熊本弁で奇病にかかった身内の日常を滔々と語る。

陽も当たらないような暗い家の、あちこちシミだらけの畳の上で、満足に手足を動かせず、奇声を発し涎を垂らしてのたうち回る骨と皮だけになった患者の悲惨な姿態、治せるわけもなく、ただ調査の為に問診する医者、そこには希望も未来も何もない、まさに地獄のよう。

調査に来た国会議員を「私共はかねがね、あなた様方を国のお父様お母様とも思っております」と陳情に頭を下げる一方、殺人企業チッソに一揆みたいなデモをかける漁民たちの姿。

言葉が出てこないよ。まさに人間の尊厳とは?と考えてしまうね。

画像1


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。