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「シティ・オブ・ゴッド」

2002年のブラジルの映画「シティ・オブ・ゴッド(City of God)」(フェルナンド・メイレレス監督)。

テンポが早くて、ゴチャゴチャわかりにくいところもあったけど、凄まじくスリリングな映画だった。

60年〜80年代のブラジル・リオデジャネイロのスラム街、“神の街”といわれるファヴェーラに住むストリート・チルドレンの生活を描いたものだが、殺人、強盗、麻薬、暴行…ギャング達の何でもござれの無秩序の世界で、ガキでも躊躇なくバンバン人を撃って殺す。これが実話ベースというからスゴい。

前に民放番組「クレイジー・ジャーニー」でファヴェーラのギャングの様子を見たけど、抗争があれば、もう普通に、そこら辺に死体が転がってるような日常なんだなぁ。俺もフィリピン滞在中、スラムにも行ったし、ギャングと親しくなったこともあったけど、全然違うや。

演者も、黒い肌に眼だけがギラギラしてるような、ホントにヤバい連中ばかりで、圧倒的なリアル感。子供も含めて、どうやって出演者を集めて演技指導したのだろう。

街が縄張り抗争で戦争のようになってる中、カメラに興味があったファヴェーラに住む貧困層の少年が、ギャングのボスを撮って、その写真が地元の新聞に掲載されたことがきっかけになり、少年はスラムを抜けて写真家に成長して行くのがサイド・ストーリーだ。

ギャングのボスが「ココで悪さをするな!」と銃で子供の脚を撃ったり、子供に「度胸を見せろ」と同じ子供を撃たせたり、さらに子供が、「気に入らねえから、アイツとアイツも殺そうぜ、アイツもだ」と自分の手よりも大きい銃を持って笑いながら通りを闊歩するという世界。

ギャングのボスでも立場が変われば、即、手下に殺される。警察もグルで賄賂でしか動かない。有無を言わせない欲望と圧倒的な暴力が支配する日常。この現実よりも現実的に見える世界に圧倒されて、日本もなまっちょろい犯罪映画など撮って満足せずに少しは見習えよと言いたくなっちゃうくらいだ。

少年はカメラでスラムを抜けることができたが、簡単に金を得ることができない現状で、やはり文化や表現で人間性を取り戻すことは充分可能なのだと思った。

全編フラストレーションだらけのショックな場面が満載で、画面から眼が離せなかった素晴らしい映画だった。

しかし、人を殺しに行く前にギャング達皆で神に祈りを捧げるって笑っちゃった。俺がフィリピンでギャングの少年らと親しくなった時、酒でも飲むかと誘ったら、未成年なのに何で酒を勧めるのか!?と怒ったのを思い出した(笑)。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。