【古典洋画】「牛泥棒」

Xで知ったクリント・イーストウッドが最も影響を受けたアメリカ西部劇「牛泥棒(The Ox-Bow Incident)」(1943年、ウィリアム・A・ウェルマン監督)。Amazonプライムにて。

現代でも充分、示唆的である衝撃的な内容の西部劇であった。福田村事件と一緒だ。

ある若い男が、町の牧場主が殺されて牛が盗まれたらしい、と伝えてきた。
怒った町の男達は自警団を組織して犯人探しに乗り出す。
やがて、牛を連れて野宿していた3人の男達が犯人として捕えられる。
3人は無罪を主張するが、自警団の男達は裁判をせずに、自分たちの手で縛り首にすることを主張する。
正当な調査と裁判を受けさせようと主張する者もいるが、多数派に押し切られて、3人は縛り首となる。
そこに保安官が来て、牧場主は病院に行っただけで死んでいないことと、牛泥棒の犯人が捕まったことを伝える。
3人は冤罪で殺されたのだ…。

自警団の若い男は、好きだった女が他の男と結婚したことで不満を募らせており、そうした日頃の鬱憤を、3人を縛り首にすることで発散させた面もある。アメリカらしい、行き過ぎた勝手な正義の暴走である。

主演とされてるヘンリー・フォンダは、冤罪事件の目撃者となっている。

自警団の群集心理は恐ろしいが、全員が同調圧力に屈する訳ではないのがアメリカだね。

冤罪でありながらも逃げることもできずに、仕方なく死を受け入れようとする男は、妻に手紙を書く。それには自分を処刑する者達への非難ではなく、人間の良心の尊さが記されていた。「法は人類の良心そのもの。良心のない者は神との対話も不可能だ。過去の人々の良心を無視する者に良心は語れない」。

胸糞映画ではあるが、今でも教えられることは多いと思う。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。