【ドキュメンタリー映画】「レニ」

1993年の、ドイツの、3時間を超えるドキュメンタリー映画「レニ(The Wonderful, Horrible Life of Leni Riefenstahl)」(レイ・ミュラー監督)。Amazonプライムにて。

言わずと知れたレニ・リーフェンシュタールの生涯だが、ナチスのプロパガンダ映画「意志の勝利」「信念の勝利」や、ベルリン・オリンピックの記録映画「オリンピア」(市川崑監督の「東京オリンピック」よりも俄然素晴らしい)は、若い頃から数回観てるほど、実は好きな映画監督である。

2003年、101歳まで生きてたんだなぁ。90歳(最高齢だって!)になってからダイビングで海に潜って写真を撮るから、その表現に対するバイタリティはめっちゃスゴい。

やはりレニといえば、ヒトラー・ナチスとの関係で“協力者”とされて最期まで非難された人物である。

この映画でも、監督が、彼女へのインタビューで、そのことを問うが、芸術家や表現者が政治にどこまで責任を負うかということだけど、結果的に協力者となってしまったので、公人としては責任があるかもしれない。

しかし、それ以上に彼女が撮ったフィルムが、俺は素晴らしいと思うので、彼女の仕事は残して置いてほしい。

監督が、ゲッペルスとの親密とされる関係を問うくだりで、レニが言うことと、ゲッペルスの日記に書いてあることと違うと指摘すると、レニは、立ち上がって激昂して去ろうとするが、真実はわからないけど、きっと彼女の中では彼女が言うことが真実となっているのだろう。

レニは言う。
「あの時代に生きたことは残念だが、どうにもならない。反ユダヤ的だったことはないし、入党したこともない。どこに私の罪があるの?原爆にも迫害にも無関係です。私の罪は何ですか?」。

戦後、世界中から非難を浴びる中で、長らく表に出ることはできなかったけど、アフリカのヌバ族を追った写真(ヨシダナギさんと動機が似てる)や、自ら潜って撮った水中生物写真で、再び表舞台に出て来る。けれど、“肉体崇拝、力と強さの礼讃、戦士への賛美”でファシズム的とされて、一部でまた批判される。

それの何がいけないのか、俺には全くわからないけどね。レニは、人間の肉体は至高の芸術となり、肉体は美のシンボルとなる、ということを表現したのだ。それがたまたま時代の不幸と結び付いたのだ。

レニは、他人の評価や批判など全く気にせずに、イデオロギーとは関係なく、最期まで写真やフィルムで表現することに、とても貪欲だったと思う。だから長生きしたのかも。

ヒトラーと出会う前、監督や女優をやった作品もあるから観たいけど無理かなぁ。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。