「絶望読書」

もう、一生背負うことになったこのブザマな身体に、予想もしなかったボケた親の介護に、想いはあるけどサボり癖がついてしまい、なかなか動こうとしない自分に、俺のこれまでの人生は充分、絶望と共にあると思うけど(若い頃は根暗だったし)、ここに載ってる大文豪でも、ほとんど絶望の人生を歩んでたってことで、おこがましくも共感させてもらうことで生き延びることができるのだよ。DSBMが好きだし。

一寸の光も見えずに深〜い絶望の底に落ち込んだ時こそ、様々な物語(映画も良し)に接するべきだと思う。

思えば、人は物語を必要としているものだ。夢や希望を語る時も、落ち込んで動けない時も、不安な時も、失恋した時も、新たな恋を見つけた時も、頭の中で空想の世界に身を置いてしまうだろう。どんな内容でも物語は常に人と共にあるのだ。

成功者(というより大金を掴んだ人)の本って、それなりに面白いけど、後々、残らない。古典になりにくい。残るのは、やはり絶望の本である。それだけ人は苦悩するものであるからだろう。

この文庫に載ってるけど、笑える明るく楽しいはずの落語が古典として残るのは、徹底的に人間のダメなところ、どうしようもないところ、始末におえないところを愛おしむからだ。バカにして笑うのではなく、共感して笑うのだと思う。

だから、絶望の片鱗が少しも感じられない表現は基本的につまらない。まず絶望してない人間など絶対に信用できない。

ここに紹介された本では、俺はカフカの絶望に共感したい。小説よりも日記や手紙が面白いけど、「いつも倒れたままでいたい」という彼の、全てを否定しながらも、激しく最期まで人生をもがいた姿勢を賛美したい。

「呑気と見える人々も、心の底を叩いて見ると、どこか悲しい音がする」by 夏目漱石

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。