【古典邦画】「電撃隊出動」

YouTubeにて国策映画を観る。東宝が1944(昭和19)年に製作した開戦3周年記念映画「雷撃隊出動」。監督は山本嘉次郎。

海軍報道部企画の戦意高揚映画ではあるのだが、ユーモアを交えても、暗く悲壮感が漂っており、よく情宣局も許したものだと思う。もしかしたら、戦争末期の作品だからか、情宣局の、諦めに近い心境もあったのではないかな。

海軍・電撃隊の三上、村上、川上のサンカミ3人を中心に、敵艦隊への特攻までを描く。

南方の基地での居眠りなどノンビリとした様子から、トランプのブリッジ遊び、商店のオバちゃんの「アメリカのヤツらを殺させて!」という話に暗い顔をする、戦闘機や物資が足りてない状況にイラ立つなど、節々に、山本監督の反戦の意図が感じられるのだが。

零式他各種戦闘機や航空母艦などの貴重な映像も多々あり、資料的価値は高いかも。尋問を受ける米兵は、実際の捕虜なのかな?

「敵艦の脇腹にミサイルを叩き込むというか、押し込む。コレは要するに精神力以外何者でもないと思うが意見はないかね?ワシはつくづく日本人の優秀性、正しさ、強さを考えるんじゃ。コレぞ雷撃精神だ」
に対し、
「雷撃とは体当たりだ。要するに死ぬことだ」。

「コッチが1人死んでも、アイツらを10人殺せばイイんだ。それ以外に、この戦争に勝つ道はないよ」とも。

敵艦隊への特攻のシーンは、円谷英二による特撮だ。

国策映画であっても、現状と大きく離れることもなく描くとなると、どうしても反戦に結び付くような内容になってしまうものだね。

シーンの一つ一つがブツ切りのように短く感じるのは、余計なことを描くことのないようにした結果なのかしら。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。