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風を味方にして

今年もゴールデンウィークはあっという間に過ぎ去った。次の9月に秋入学(予定)を控える私には、現在『学生』という肩書きがない。まだ合格発表すら終わっていないため、同い年の子たちに比べて随分と遅れをとりながら生きている。そんな現状に若干の危機感と退屈さを感じ始めた近頃、好奇心のかたまりである私はバイクの中免を取得した。インスタのストーリーでそのことを友達に報告すると『台湾にひとりで行ったかと思えば今度はバイクかよ』と苦笑いされた。

日本を離れるまで残り約4ヶ月弱。中国語や英語の勉強は言わずもがな継続しているが、今を思い切り楽しむことも私にとっては重要だ。風のようにゆらゆらと、思うがままに過ごすこと。そして時々、大好きな人たちに会って元気をもらう。結局そうやって過ごすのが自分にとっては1番心地良い。そんなことを改めて強く思った今年のゴールデンウィークの思い出を、今日はゆっくり書き綴っていこうと思う。

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私のゴールデンウィークは、バイクの公道初走行から始まった。娘が免許を取ってからいかにもワクワクしている父と久しぶりの外出。最初こそ恐怖心があったものの、しばらくすると徐々に走行も安定してきた。ここまでバイクと言い続けてきたが、実は初公道の日に乗ったのは、我が家に納車されたばかりの新型スーパーカブC110。色んな車種を検討したが、結局は乗りやすさと価格重視でカブになった(私はクロスカブの方がよかったけどね)。クラッチがなくパワーもそこまで強くはないが、運転のしやすさはピカイチ。そのため、現在我が家ではスーパーカブと父ご自慢の愛車の2台体制になっている。

結局その日は地元の山道を走行してから帰宅した。途中で父の愛車でも山道を走ったが、やはりニーグリップができるだけあって安定感がある。どちらにも違う良さがあるが、やはり共通して言えるのは、それはバイクでしか味わえない爽快感が堪らないということだ。田舎の澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込んで、自然をダイレクトに感じるあの感じ。好きだなあ。バイクを走った後に行き着く景色すらも愛おしいと感じた日だった。

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まだまだ続くゴールデンウィーク。私のバイト先は、季節が変わる時期が最も忙しくなる。そのため、スタッフの人手が薄くなるゴールデンウィークは基本的にシフトを入れていたが、バイト終わりに帰省中の友達に会いに行くことも多かった。学校という当たり前がなくなった今だからこそ、短い時間でも大好きな人たちに会えることを幸せに思う。ご飯を食べながら近況報告をしていると、いつの間にか疲れが吹き飛んで話が盛り上がる。それは女子校の休み時間そのもので、久しぶりに心の底から安心した。私たちには青春がないだとか文句ばかり言っていた高校時代も、案外悪くなかったなんて今になって思う。離れ離れになっても『ともかといる時間が最高に楽しい』と言ってくれる人がいるなんて幸せなことだね。連休半ばで素敵なエネルギーチャージができた。

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ゴールデンウィークのお休み最終日は、これまた父と2人でロングツーリングに出かけた。世間は連休半ばで、天気にも恵まれたお出かけ日和。道は朝から混雑していたが、通りすがりのライダーさんから初めてヤエー(ライダー同士がすれ違うときにピースサインや挙手などをして、挨拶を送り合うこと)をされて、何だか感動してしまった。海風の心地よさや太陽の香りに気づいたときも、不思議と胸がいっぱいになる。道中で出会う見知らぬバイク乗りの人たちと話すことも、全てが新鮮で楽しかった。

空港の近くにあるビーチに到着後、しばらくふらふらとお散歩をした。まだ5月なのに日差しが強くて、海水浴をする子供たちもいる。海辺は多くの人で賑わっており、なんとなくニュージーランドで見た風景を思い出して懐かしい気持ちになった。向こうでお世話になった人たち、みんな元気にしてるかな。そんなことを考えていると、上空に1台の飛行機が通過した。バイクもいいけど、飛行機もカッコよくて大好き。風に乗ってどこまでもまっすぐ進んでいく姿を見ていると、ふと心が軽くなる気がする。このように、余白を愛することって案外簡単なのかもしれない。

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ゴールデンウィークがいよいよ終わり、また平坦な日々が続いていく。いや、決して平坦ってわけでもない。いくら普段は明るく振る舞っていても、私にだって向かい風に足をとめられそうになることがある。そんな時こそ、風を感じる旅に出かけたい。暑くなる前の今がチャンスだね。

私は現在、バイトの通勤でカブを使っているが、先日退勤後に見知らぬおばさんに声をかけられた。最初は怖くて無視してしまったが、ヘルメットを外しておばさんの方に顔を向けると『こんなに可愛くてピカピカのカブの隣に、華奢な女の子が立っていたから思わず話しかけたくなっちゃった』と笑顔で話し続けられた。かつてはリトルカブに乗っていたというその方。『真っ白なデザインと新型のフォルムがあなたにとっても似合っているわ』とまたもやベタ褒めしてもらった。

そのおばさんとは結局15分ほどおしゃべりしてしまったが、こうやってバイクに乗っているからこそ広がるご縁が愛おしい。これから先、どんなバイクが私の相棒になってくれるのか。どんな人たちと出会えるのか。ワクワクしてたまらない。もちろん何度も言うが、セーフティマインドを持ち続けることが何よりも大切。安全第一で、5月もたくさんの素敵な思い出が作れますように。

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