一番最初の記憶
ある本を読んでいたら、とても素敵な問いが目に入った。
すぐにその問いの世界に入る。
「人生で一番最初の記憶ってんなんですか?」
一番最初の記憶、なんだろう。
思い出せないはずはない。だって一番最初の記憶だもの。
写真が思い浮かぶ。赤ちゃんの頃の。
でも求めているのは写真ではない。
私が五感を通して覚えている最初の記憶。
「ちゃんちゃりんこちゃんちゃりんこちゃんちゃりんこちゃん、ぶー」
ふとそんな言葉が頭に振ってきた。
ああ、これが私の最初の記憶なんだと思ったら
ノスタルジックな思いとともに
強い幸せの感覚が私の涙腺を刺激した。
これは父親が私をあやすときに口にしていた言葉。
他愛もない遊びに使われていた。
顔を近づけて鼻と鼻を合わせて
ちゃんちゃりんこで左右に首を振る。
最後のぶーで鼻を押し付け合う。
小さなころの私はそれが好きだったようで、
大笑いしながら何度も父にちゃんちゃりんこを求めた。
父は何度も何度もちゃんちゃりんこで私をあやしてくれた。
それが一番最初の記憶。
幸せで満ち足りていたころの記憶。
あの時の安心感、無邪気さ、喜び、驚き、そして終わりのない愛情。
私の本当に求めている幸せの形は、ここに凝縮されているのかもしれない。
そしてちゃんちゃりんこは、
私の息子にも引き継がれていることを思い出す。
息子をあやすときに無意識に私もやっていたのだ。
息子もいつか幸せな記憶としてちゃんちゃりんこを思い出すのだろうか?
そうであったらうれしいが、違う記憶でもいい。
ただ、息子の最初の記憶がやはり幸せとつながていたらいいなと、思う。
あなたの人生の一番最初の記憶はなんだろうか?
よかったらその手を少しだけとめて
思考の旅に出てみて欲しい。
幸せか不幸せか、喜びか悲しみか、それはわからないけれど、
そこにあるものは、あなたの根本にある欲求を
思い出させてくれるものになるのではないかと思う。
自分の根源を知る、思考の旅に出るきっかけをくれた問いに感謝をして、
私はまた本の続きを読みだした。
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