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海外MBAにはいつ行くべきなのか

新年あけましておめでとうございます。

読者の中には海外MBA出願準備のピークに差し掛かっている方もいるでしょうが、どうぞ健康面とのバランスには留意されてくださいね。

フルタイム海外MBA在学中の方については、オンラインではなくオンキャンパスでできる限りの経験を積み重ねることができるのを切に祈っています。

さて、どこまで規則的にできるかはさておき、本年も個人の立場から、少しでも読者の皆様の関心に資する記事を投稿していければと考えています。

今回は、海外MBAにいつ行くべきなのかについて考察してみたいと思いますが、一般論としては「海外MBAを目指すのは早すぎず遅すぎず+海外MBAを志す目的次第」が回答となるのではないでしょうか。

女性については、この問いに関連して、別の観点から、以下の通り、過去に書き上げています。


早すぎず遅すぎず

一般的に多くの海外MBAでは、入学時点で最低3年の就業経験が求められることが殆どです。

IESE(イエセ)の場合も同様であり、平均就業年数は入学時点で5年程度です。

日本人の場合、選ばれるまでに時間を要しがちな社費や出願に必要な英語力増強が押し上げ要因になるため、平均就業年数は7年程度のことが多いです。

最低就業年数について、3年未満でも入学できる海外MBAも確かに一部存在しますが、トップ校であればあるほど、それは当てはまりません。

なぜ早すぎると問題か、まず学びの観点から申し上げると、海外MBAは学生同士で学び合うという側面が強く、就業経験がないあるいは限定的な人が集まっても議論の深みが出ません。

逆に、遅すぎると、同じく学びの観点から、何が問題かというと、海外MBAを通じて得られる学びの上昇カーブ(ラーニングカーブ)も非常に緩いものになります。

そして、学び以外に、海外MBA卒業後のキャリア機会の観点からも、早すぎず遅すぎずが望ましいと考えられます。

海外MBAは同じスコアであっても海外MBA前の職歴によって大きく出願時の優劣が変わってきます。

海外MBA卒業直後の就業機会に向けた就職活動において採用企業側が最も注視しているのが学校名ではなく海外MBA前の職歴であるという点からも、職歴の重要性は計り知れないものがあります。

この職歴については、年数だけで安易に語られるものではなく、むしろ中身の濃度の要素の方が大きいです。

先日、説明会で、私費受験生の方から「私は現在○○歳なのですが、IESE(イエセ)に入学できますでしょうか。」という質問を頂きました。

私は、「年齢だけで判断できるものではなく、学校目線でキャリアリスクを定義すると、その構成要素は、1.年齢(就業年数)、2.MBA前の職歴の強さ、3.MBAを経た後に目論むキャリアチェンジの度合い(地理・業界・職掌のうちどれをどれだけ変えたいか)です。それらを全て把握するため、個別に議論する必要がある。」と回答しました。

特にこのような状況であれば、スコアメイクができてからとか先送りするのではなく、できる限り早く方向性を見出すべきでしょう。

相談すべき相手は、通常、エッセイカウンセラーでも在校生でもなく、入学審査官です。

同じ理由で、私費の方には、安易に年齢だけで海外MBAの期間(1 or 2年)を考えるべきではない、と通常申し上げることが多いです。

海外MBAは卒業時32-33歳くらいでは手遅れ、と煽る方も業界内には未だに一部いますが、これは海外就職・国内就職いずれの場合にもごく一部の業界を除き現時点では該当しません。

国内については、IESEの今年5月卒業予定の某日本人学生も、卒業時37歳で、グローバルに最も名高いという暗黙の共通認識があるであろう某外資系コンサルティングファームに入社する予定です。

この事例が示す通り、年齢の上限は緩くなる傾向が強まってきています。

但し、これが永続的な傾向とは限らないし、同じ方が卒業時40歳だとおそらく状況は変わってきます。

海外については、もう少し卒業時の年齢にシビアなところがあるのは事実ですので、やはり遅すぎても問題になります。

平均年齢が欧州より低い米国校の方が、年齢が高いことが不利になる可能性はあるでしょうが、少なくとも私の観点からはその違いが日本人にとって劇的なものだとは思っていません。

どこかしらに就職できればいい程度の感覚を基準に据えるのであれば卒業時40歳だろうとおそらく問題ないケースが多くなるでしょう。

しかし、学生を集めるだけで手一杯で学生の年齢など気にしていられないというレベルとは一線を画したトップ校では学生が卒業後にどんな活躍を見せるだろうかという点に注意を払っています。

ですので、やはり卒業時40歳でトップ校のMBAは、非常に職歴が強くキャリアチェンジの度合いが小さい方を除き、あまり現実的ではありません。

言い換えると、極端に年齢が高かったり低かったりという人が周囲に多い学校はトップ校ではないとも言えるでしょう。

なお、当然ながら、キャリアチェンジに目的の重きを置いていないExecutive MBAやミッドキャリア用であることを明言しているMBAはその限りではありません。


海外MBAを目指す目的次第

「海外MBAを目指す目的次第」と書いた点については、私の例がわかりやすいでしょう。

私は、これ以上ない完璧なタイミング(入学時点で職歴6.5年)で海外MBAに行ったという自負がありますが、私の目的の詳細を適切に把握していない人にはそう映らない部分もあるでしょう。

以下の記事にも書きましたが、海外MBAを志した最大の目的はキャリアチェンジだったので、おそらくあと3-4年待っていればほぼ確実に社費で出願できた状況を無視して、私費で出願しました。

私の場合、IESE(当時、ファイナンシャルタイムズ世界MBAランキング7位)よりも更にランキングの高い学校に合格する可能性を高めることを求めるなら、社費・私費の是非は一旦さておき、おそらく2-4年出願を待ち、その間に一層職歴を積み重ねるべきだったでしょう。

そこまで待っていれば、入学時点で、年齢的には許容範囲と言える30-32歳、職歴も明らかに実際の私の応募時よりも強化されていたことでしょうし、前述のキャリアリスクも特に増えなかったでしょう。

また、一部のトップ校は、私費と比べて社費を明確に優遇しています。

ということで、本当に私が自分の学歴ブランドに一層固執するのであれば、「待つ」という選択肢を取るべきでした。

ですが実際には、職掌を変えることを最優先にしたキャリアチェンジをとにかく急ぎたかったので、GMATのスコアも既にあったことから、その選択肢を真剣に考えることはなかったです。

また、私は周りから人生を生き急いでいるとよく言われてきましたが、結果的に生き急いで大正解だったと感じさせてくれているのは新型コロナウィルスの影響です。

人生には自分で制御できず予見もできない回避不可能な事象がいつ起きてもおかしくないということを人類全体への教訓として教えてくれたのがこの新型コロナウィルスだと思います。

極端な話、自分や自分の周りの大事な人がいつ死ぬかわからない中、今日この日が人生最後でも後悔しないような生き方をしようというのは常に意識しているところです。

とはいえ、今留学中の方々の中には、生き急いで今留学している結果、タイミング悪く新型コロナウィルスの影響で、完全な経験とは程遠い経験を余儀なくされている方もいるでしょうから、これも常に当てはまるものではないことも当然理解しています。

また、生き急ぐといっても、特に前述のキャリア上の観点から職歴をある程度までは充実させることの重要性もわかっていたので、無理をして1年早い海外MBA留学を決断しなくて良かったと今でも思っています。


その他

そもそもいつ海外MBA留学に行くべきかという点について、会社の辞令に従い特定の年の応募を義務づけられる社費生と異なり、私費生は理論上選択権を持ちます。

但し、実際には満足のいくテストスコア(特にGMAT/GRE)がいつを叩き出せるかに引きずられるケースが多いでしょう。

言うは易し行うは難し、の典型かもしれませんが、やはりGMAT/GREの点数をある程度早い時期に持っておくことで選択権を持つことができるというのは大きな利点です。

海外MBAを目指すことを既に決めていて、制限のある受験回数を無駄にしない程度の準備ができているのであれば、出願自体より数年前にGMAT/GREを受験しておくのは何ら間違った戦略ではないでしょう。

最後になりますが、受験年を選べる状況にあるとしても、海外MBAを志す目的に関わらず、「今年は受かりにくそう、来年は受かりやすそう」といった噂に流されて、受験年を判断することだけは決してお勧めしません。

今年の状況はある程度確度が高いのかもしれませんが、翌年については確度が下がりますし、そんな予想は学校や入学審査官にすら極めて困難なものです。




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