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遺伝子の基本をざっくり説明してみる

以前、創薬トレンドについて書きました。そこでは基本的な説明ができていなかったので、今回テーマとして取り上げました。


遺伝子とDNAって違うもの?

「染色体、DNA、ゲノム、遺伝子の違いを説明して」と言われたら、ちょっと困りませんか?
まずはこの説明から。

染色体とは、細胞の中心にある細胞核の中にあるもので、たくさんのDNA(人間の場合は約2メートルと言われています)が折りたたまれたものです。

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(出所:国立がん研究センター)

そしてこのDNAとは、デオキシリボ核酸(DeoxyRibonucleic Acid)という化合物の略称で、↓のような分子構造を持っています。

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(出所:Wikipedia)

このDNAに書き込まれている情報のすべてをゲノムと呼び、その中で「意味がある」とされている領域を遺伝子と呼びます。
つまり、染色体とDNA(デオキシリボ核酸)は「物質」で、ゲノムと遺伝子はそこに書き込まれている「情報」のことを指しています。

この遺伝子(意味があるとされている情報)は、すべてのゲノムのうちわずか1.5%程度と言われています。つまり、膨大なゲノムのほとんどはダミーデータということになります。
(今後、科学の発展とともに「やっぱり意味があった」と定説が覆される可能性は大いにあります。)

遺伝子の活用方法

この遺伝子は、メッセンジャーRNAというものにコピーされ、その情報を
リボソームという「合成装置」が読み取ることでアミノ酸が合成されます。(大事なものなのでコピーしてから使うようです。)

さらにそのアミノ酸が組み合わさったものがタンパク質で、生物の身体を構成したり、さまざまな作用を引き起こしたりします。

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(出所:JAXA)

DNAをどうやって読み取るのか?

実はこのDNA、構造の一部がアデニン (A) 、チミン (T)、グアニン (G) 、シトシン (C) の4パターンのいずれかを持ち、これが情報を表しています。つまり、ATGCの4文字だけを使ったコードと言うことです。

さらに、AとT、GとCはそれぞれ対になるようになっています。この特性を利用して、DNAを読み取ったりコピーしたりします。
具体的には、DNAの二重らせんをほどき、ATCGの文字列(ヌクレオチド)が大量に入ったプールに放り込みます。すると、ほどかれたDNAの一本鎖にAとT、GとCがそれぞれくっつくので、あっという間にコピーができます。

この時、プールに入れておいたATCGにマーカーを付けておくとどうなるでしょうか?
肉眼では観察できないので、レーザーを当てると反応する蛍光物質をつけておきます。
例えばそれが、AAAATTTGGGCCCというコードになっていたとしたら、裏返して「TTTAAAGGGCCC」がもともとDNAに書かれていたコードと言うことになります。
これがゲノム解析の基本的な原理です。

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(出所:九州大学、コスモバイオ)

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