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YS 1.23 まずはそれが在ると知ること

さて、サマーディへたどり着くのを早めるにはどうしたらいいかが続くヨーガ・スートラです。今回は、もうひとつの選択肢をご紹介。

※前回分は、こちら『YS 1.22 3つのメモリ』をご覧ください。


ヨーガ・スートラ第1章23節

ईश्वरप्रणिधानाद्वा॥२३॥
īśvara-praṇidhānād-vā ॥23॥
イーシュヴァラ プラニダーナードヴァー

もしくは、神【イーシュヴァラ】への完全な帰依によっても【サマーディは達成される】(2)


まずは、イーシュヴァラというのがいるってね、というところから始めましょう。イーシュヴァラは神を意味する言葉ですが、インテグラル・ヨーガ(2)が『至上意識ー個別の魂ではない至上の魂ー』としているように、何かかたちすら持たないようです。

この、分かるようで分からないトピック。イーシュヴァラについて、これから4節くらいかけて説明が続くので、じっくりいきましょう。そしてそれが、オームというマントラの話つながります。この面白い流れ、ぜひお楽しみに。


さてさて、スートラ1.19 で書いたとおり、前の人生を引き継いだ結果、産まれながらにサマーディに到達している人もいれば、とてつもなく大変な努力をこれから経る人もいる。しかし、そのプロセスで必要となる先生や学ぶ場へのアクセス、能力を誰もがもっているわけではありません。それならばと、パタンジャリはイーシュヴァラへの献身を勧めているわけです。フォーチャプター(1)が語る、このスートラの意義。

サマーディに早く到達したければ、めちゃくちゃ頑張るか、もしくは神さまにお願いするといいよと、さらっと表面だけでなでると読むこともできます。でも、そういうことではなく、どんな立場やシチュエーションであれ、望む人には方法があるということ。この選択肢に救われた人はきっとたくさんいたことだろうし、だからこそなおさら、真摯に練習しなくちゃなと思います。


そもそも、わたしは、「献身」をどこまで理解できているかについても疑問を感じます。フォーチャプターは、自身の認知していること、考え、感情、意識を全て完全にイーシュヴァラの元へ置くことだと書いています。

これ、聞き覚えがあるなと思ったら、サムプラジュニャータ・サマーディの話に似ていませんか。あのときに例えはマグカップでしたが、それをイーシュヴァラに置き換えてみるのと違うのだろうか。ハリーシャ(3)は、イーシュヴァラへの献身的な行動を、神または真実を求める思いを燃料とした瞑想になると書く解説も紹介しています。だから、イーシュヴァラへの帰依または献身も、サマーディへの道を加速させる十分な方法になる。


フォーチャプターがいっぱい語ってくれるスートラなので、もうちょっとこの解説から。

インドには哲学六学派があり、その中のひとつであるサーンキヤ学派の実践編として派生したのが、このヨーガ学派です。その違いのひとつとして、ヨーガ学派がイーシュヴァラの存在を認めていることになります。それはなぜか。フォーチャプター曰く、人々の生活を守るために、神というコンセプトを取り入れたのではないかといいこと。

世界中のどこに住んでいても、多くの人々は神がいるというアイディアにに大いに慰めされ、その道を歩んでいるのだと続けています。パタンジャリが考えるヨガの主な目的は、人々に人生における実践的な方法を教授することであり、それぞれのもつ考えや制限、仮定や推測と照らし合わせながら、霊的な成長を続けることを推奨しています。

だからこそ、ヨガインストラクターは、自分が無神論者であったとしても、無神論を説くべきではないと書いています。ここで深呼吸、そして、どうぞ一旦考えてみましょう。なぜだと思いますか、そしてどう思いますか。


終わる前に大切なこと。イーシュヴァラとは直訳で神を意味するだけで、それ以上の特徴を持たせる意味はないのだそうです。日本語では自在神とも訳されているようで、つまりこれとした確定しうるものではないということ。だから、どの宗教に属していても、ヨガをすることはできる、ということです。

ヒンドゥー教の神さまの名前が、マントラで出てきたり、アサナ(ヨガのポーズ)の名前についていたり、そもそも最古のヨギはシヴァだそうですが、ヒンドゥー教なわけではないです。ここは、しっかり知っておくといいと思う。(インドの人にとって)普段慣れているヒンドゥー教の神様たちを集中の対象に据えることでしやすくなるのが目的で、そこを超えたところにヨガの目的があるからと教わったことがあります。

イーシュヴァラについても同じような見方でも良さそうかなと思いますが、今回はこんなところで。


今日もスートラ読みましょう!今回は簡単なので、怯んでいた方もぜひ。仲良くなりたい人の名前は口に出して読んだほうがいいから、ぜひイーシュヴァラも読んでみましょう。

いーーーーっぱい書きましたが、イーシュヴァラを知る第一歩であるその定義は、次回のヨーガ・スートラ第1章24節 で。こちらからどうぞ ⇩

※ 本記事の参考文献はこちらから





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