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ジェーン・オースティンセンター 英国代表作家が見たバースの社交界 バース編③

 みなさま、以前の記事にスキとコメントどうもありがとうございます!
バース編、第3弾はジェーン・オースティンセンターについてご紹介します。(ジェインと表記される場合もありますが、今回はジェーンにしました。)


ジェーン・オースティンセンターはどこにある?

 こちらのセンターは、前回ご紹介したサーカスに続く道、ゲイ・ストリートにあります。ジェーン・オースティンさんはバースに住んだことがあり、彼女のゆかりの地となっています。そして、このゲイ・ストリートには彼女が実際暮らした家が残っているそうです。
 私は訪れるまでそのことを知らず、このセンターの前を通り過ぎたとき、「え!?ジェーン・オースティン!!なんで!?」と奇声をあげてしまいました。笑

ジェーン・オースティンってだれ?

 ジェーン・オースティンってだれやねん!と思ったそこのあなた!
説明しましょう!
 ジェーン・オースティンさんは18世紀を代表するイギリスの小説家で、彼女の恋愛小説は恋愛バイブルと言われたほど人気になり、なんとイギリスの10ポンド紙幣にはエリザベス女王とジェーン・オーステインさんのお顔が描かれております!
 ええ!まじい!?みなさんご存じでしたか?ちなみに私はイギリスに来るまで知らなかったので、おったまげ~!!でした。そんな時代を超えて大人気な彼女のファンが、現在もこのセンターを訪れるというわけです。

有名な作品は?

 彼女の作品で最も有名なのが「高慢と偏見」ですが、こちらは何度も映画化やドラマ化されていますので、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。2005年に映画化された際は、主演のキーラ・ナイトレイさんがアカデミー賞主演女優賞にもノミネートされました。

なぜ人気なの?

 恋愛小説自体が人気だったというのもありますが、日常の中で女性の自立心が描かれていたのが大きな理由です。自身の経験に基づいて、イギリスの階級社会についての細かい描写や、女性の地位の低さへの疑問や皮肉がキャラクターを通して描かれています。まだ女性の権利があまり浸透していなかった時代に、自分の意思を持って行動する女性のストーリーが、当時を生きる人々には深く刺さりました。さらに、人気の秘訣は、決してダークな内容ではなくユーモアに溢れ、くすっと笑えるシーンがあり、楽しく読めることではないでしょうか。数々のストーリーがイギリス社会に広く影響を及ぼし、英国文学史では非常に重要な方です。

ジェーン・オースティンの生い立ち(1775-1817)

 ジェーンさんは、1775年イングランド南部ハンプシャー州の生まれです。(前回のロイヤルクレセントが完成した年ですね!18世紀のバースは熱い!)

 お父さんはオックスフォード大学卒で牧師さんでした。お父さんはもともと裕福な家庭に生まれますが、孤児になり親戚に引き取られます。人生いろいろですね。その後、裕福な家庭の奥様とご結婚されます。オースティン家は中流階級のご家庭で、7人兄弟です。父と同じくオックスフォード大に進学した兄弟や、養子にもらわれた兄弟、海軍に入隊した兄弟など、それぞれ違った道を歩んでいます。ただ、お姉さんとはずっと親密な仲だったようです。

子供時代の執筆

 ジェーンさんは寄宿学校に通うなど、一般の方よりも教育を十分に受けられました。特に読書に非常に興味があったようで、父や兄弟の助けもあり、幼いころから読書を楽しみました。そして、10代のころから詩や文章を書き始めています。当時は、女性が家事以外の活動をすることはあまり好ましくないと考えられていたようですが、お父さんはそれを咎めず、執筆に必要な道具を買ってあげたそうです。(え、めっちゃいいお父さんやん~)
 しかも、彼女が書き始めた理由は、家族に読み聞かせるためだったそうで。家族団欒の時間に、自分が作った作品を披露していたようです。なんだか、暖かい家庭でほっこりしますね。

バースへの移住と社交界

 1801年、父が退職を機にバースへ移り住むことを決めます。ここでようやくジェーンさんとバースの関係性が見えてきます。彼女はバースで約5年の月日を過ごすことになりますが、このバースでの生活が後に彼女の小説へインスピレーションをもたらすことになります。

 彼女自身はバースへの引っ越しには不満を抱いており、あまり好んでいなかったとも言われますが、この時代のバースは建築開発が進み、社交界の中心の場でもあり、活気に溢れていました。26歳だったジェーンは最先端の街バースで、アフタヌーンティーや社交パーティーなど様々な娯楽を楽しんだそうです。   
 この期間はあまり執筆活動をしておらず、その原因を環境の変化のための精神病、または社交界での活動が忙しかったなど理由が二分しておりますが、こちらは当時の資料があまり残っておらず真実は不明です。

 しかし、このバースでの暮らしと社交界の経験が、彼女の小説の階級社会の描写に大いに役立ったと考えられています。そして実際に、彼女の作品のうちの2作品にバースが登場します。

父の死と最後の地

 1805年にお父さんが亡くなり、ジェーンさんはお母さんとお姉さんと一緒にサウサンプトンへ移住します。サウサンプトンはイングランドの南に位置し、あのタイタニック号が出向した港町でもあります。(ちなみにタイタニック号出向は1912年)その後、1817年には体調を崩し、療養のためにサウサンプトンより少し北にあるウィンチェスターに引っ越しますが、その2か月後に41歳で亡くなりました。そして、彼女はウィンチェスター大聖堂に埋葬されました。

女性の低い地位と匿名での出版

 短い生涯でしたが、彼女は6つの小説を執筆、それ以外に2つが未完成となっています。完成した6作品のうち2作品は彼女の死後に出版されました。そして驚くべきことに、当時彼女は匿名で小説を出版していました。この時代の女性は家庭にいるべきという思想が強く、他の活動をすることは社会からよく思われていませんでした。そのため、多くの女性作家は匿名で寄稿しており、ジェーンさんもそのうちの一人でした。
 彼女の名が有名になったのは亡くなってからということになりますね。きっと彼女自身、社会について苦しい思いや疑問があったのではないでしょうか。そんな彼女が紙幣にまでなるなんて、時代は変わりましたね。すごい。

一晩で破棄したプロポーズ

 生涯独身だったジェーンさんですが、恋に落ちたという記録やプロポーズされた記録が残っています。しかも、そのプロポーズを一度受けたにも関わらず、翌日にお断りしてしまいます。なんとまあ、女心と秋の空か!?笑
と思いきや、そんな甘い話ではなく。当時は男性の地位が非常に高く、女性はいい御家柄の方と結婚することが人生の全てといわんばかりでして、社交界ではそのお相手を探すといった感じでした。
 ジェーンさんのお相手は裕福な家庭の男性で、オースティン家にとってはまたとないチャンスでした。ジェーンさんが結婚すれば家族みんなが安定した生活を送れるのです。恐らくですが、一度はご家族のために承諾したが、自分の意思と反しているのでお断りしたと考えられるのではないでしょうか。小説のキャラクター同様、彼女自身が社会と女性の権利への疑問や不満を抱えていたとよくわかるエピソードです。きっと華々しく見える社交界にいる間も、苦しい場面がたくさんあったのではないでしょうか。あくまで私の想像ですが。

 そんな彼女の思いが詰まった小説、階級や時代背景も含めて読むときっと興味深いと思います。気になった方はぜひ一度読んでみてくださいね。

ジェーン・オースティンセンターの中はどうなっている?

 さてさて、説明が大変長くなりましたが、こちらのジェーン・オースティンセンターはお土産売り場、ティールーム、博物館が入っております。非常に小さい建物ですので、見学だけならさくっと訪れられると思います。
 ちなみにこちらの建築も、前回のジョン・ウッド(親子)の設計ですので、ジョージア建築となっております!縦長で繋がってるあれですね!

 入口では「高慢と偏見」のダーシー様がお出迎えしてくれます。きっとファンが多いんでしょうねえ。

チケットはいくら?

 2023年11月時点で、チケットは大人一名13.25ポンドです。日本円で約2500円ですね。ちなみに一階のグッズ売り場は無料で入れます。

 グッズがとてもかわいくて、自分用にもプレゼント用にも素敵です!布バッグがめちゃくちゃ可愛かったのですが、布バッグだらけになるため諦めました。(イギリスは布バッグ大国です、どこに行っても布バッグが売られています。笑)
 作品ごとのマグカップとか売ってるんですよねえ、こんなんファンにはたまらんやろ!とツッコミを入れながら見させていただきました。

 私はこちらのポストカードを記念に購入しました。乙女チックでファンシーです!全体的にラブリーな印象のものが多かったですね。

 キャラクターのグッズもたくさんありました。店員さんは、みなさまコスプレをしており、なんと衣装を着て写真撮影もできるそうです。18世紀のイギリス、かつジェーン・オースティンの世界にどっぷり浸れます。ファンの方は外せない観光スポットです!

 今回はこちらのセンターは予定していなかったので、残念ながら私は時間がなく、さくっと見ただけになりました。またいつかじっくり見学したいです!

年に一度のお祭り!ジェーン・オースティンフェスティバル

 バースでは年に一度ジェーン・オースティンフェスティバルが開催されます。(ジェーン、めっちゃ人気やん!笑)ちなみに主催はこちらのセンターで、2001年から行われております。
 フェスティバルの見どころはなんといっても、参加者が当時の時代のコスプレをしていることです!ドレスを着た方や紳士服を着た人が街中に溢れ、バースの街並みとともに、まさに18世紀にタイムスリップできます。衣装はレンタルすることもできるそうですが、購入したり、ファンの中にはキャラクターのドレスを手作りする方もいらっしゃるそうです!熱い!熱いよ!ハートが!
 フェスティバルでは演奏会やツアーが行われ、当時の社交界を再現したダンスパーティーなども行われるそうです。

フェスティバルの日程

 調べたら3年後まで日程が決まっておりました。情熱が熱いよ!笑

日程は、
2024年9月13日~22日、
2025年9月12日~21日、
2026年9月11日~10日

となっております。行きたいなと思われる方は、毎年9月に開催されるんだなあ、、とぼんやり覚えておきましょう!
(※日程は変更になる恐れがありますので、行かれる方は事前にお調べください)

 しかも2025年はジェーン・オースティンが生まれてから250周年記念のフェスティバルなので、かなりの盛り上がりが期待できそうです!

あとがき

 さて、前回のジョン・ウッド(息子)さんに続き、今回も18世紀の人物紹介となりましたが、いかがでしたか。第1回のハムハウスもそうでしたが、女性が自立しようとする時代の変化を感じましたね。私自身、ジェーンさんの作品をちょろっとだけ読んだことがあるのですが、当時の時代背景をあまり知らなかったので、もう一度読み直すと彼女の伝えたかった事がよりよく把握できそうだなと思いました。社会に対しての思いがたくさん詰まっていますが、最初は家族を楽しませるため、というところが個人的にはいいなと思いました。人への愛を感じます、誰かへの愛が、情熱のきっかけになるんでしょうね。

 さて、思ったより長く続いているバース編ですが、次回もまだ続きます。笑

ここまで読んでいただき、どうもありがとうございました!


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