見出し画像

大切な趣味がひとつなくなった話。

18歳のころ、アニメを観たり、マンガを読んだり、ボカロ楽曲をニコ動で漁ったりなど、THEオタクだった私に新しい趣味ができた。

それは「献血」だ。

高校3年生のある日「献血に協力してください」と書かれたチラシを見たことがきっかけで献血に足を運んだ私。社会に貢献している達成感や献血ルームの安心感にハマり、定期的に通うようになった。

個人的に一番グッときたのが、お金を入れなくても飲み物が出てくる自動販売機。初めて見たときは、「え…魔法やん…」と感動した。(とにかくカフェラテを飲みまくったのを覚えている)。

ほかにも、献血中はテレビを見てゆったりできること、お菓子が食べ放題なこと、本がたくさんあって待ち時間が暇じゃないことなど、私にとってのメリットはたくさんあった。夏は涼しいし、冬は暖かい。何一つ不自由のない献血ルームに行くことが、私の密かな趣味になっていた。

でも、19歳のころ、その趣味がなくなってしまった。

それは専門学校の帰りに献血ルームへ行ったときのこと。いつもの受付のおばさんに「来ました〜!」と明るく挨拶をして、献血前の問診や検査を済ませた。いつものようにテレビを見ながら献血を受けていたのだが、だんだんと気分が悪くなってきて、全身の血の気が引いていくのがわかった。

「すみません…気持ち悪くて……」と近くの看護師さんに伝えたのがやっと、後のことはほとんど覚えていない。迷走神経反射を起こし、少しだけ意識を失っていたそうだ。

私はとにかくショックだった。なぜなら、一度迷走神経反射を起こすと、しばらくもしくは永久に献血ができなくなるから。看護師さんは「大人になったとき、もしかしたらできるようになるかもしれないけど、一度起こすと何度も起こしやすくなるから献血はやめておいたほうがいいね。最悪な状況になることもあるんやで」と言っていた。

何がダメだったのだろう。献血ルームの締切時間ギリギリだったから全力ダッシュしたのが悪かったのか。それともお腹が空いていたのが悪かったのか。もしくは、当時の彼氏と喧嘩してストレスが溜まっていたのが悪かったのか。原因はわからないけど、とにかく副交感神経のバカ野郎、と思った。

迷走神経反射を起こした1年後、試しに献血ルームに行ってみたが、カルテに迷走神経反射の既往が記録されていたので、献血を受けることはできなかった。献血ルームを出禁になったようなもの。本当につらかった。

今でも私は迷走神経反射のリスクを考えて、ワクチン接種や採血は横になって処置してもらっている。そして、迷走神経反射のことを思い出すたびに、献血に行けないつらさを思い返してしまう。

献血に行っているみなさん、迷走神経反射にだけは気をつけて……。学生時代の私の少し変わった趣味がなくなったときのお話でした。おわり。

飛んで喜びます…!そしてお寿司を食べます🍣