小さな森のパーティ
小さな木立の小さな森は、いつも静かな場所でした。川はせせらぎ風がそよそよと鳴るほかは、時々誰かの笑い声が遠くに聞こえるだけの、そんな静かな森でした。
でも今日は朝から様子が違っていました。朝早く、太陽が昇るのと同じくらい、聞いたことのないようなするどい声が響いたのです。
コケコッコー!
その声を聞いた森中の動物たちが、眠たい目をこすりながら小さな原っぱに集まってきました。みんな口々に、なんだなんだと言っています。
原っぱではにわとりの一家が、新しく越してきた家を片付けていました。朝早くに起こされた動物たちは、そんな一家の様子を見てあまりいい顔をしません。
「ちょっと非常識なんじゃないかな、こんな朝早くに」不機嫌そうに、森で一番の年寄りクマが言いました。
「ごめんなさい」とにわとりの奥さんが言いました。つい癖で、と小さな声で言いました。その様子があんまりかわいそうに見えたので、みんなはそれ以上何も言わずにそれぞれの寝床へと帰っていきました。
しかし、翌朝も、太陽と同じくらい早く、にわとり夫婦の声が森中に響きました。次の日も、その次の日も響くものですから、森の動物たちはとうとう怒ってしまいました。
「明日もこうならね、もう出ていってほしいと言わないといけないよ」年寄りクマが言いました。夫婦はやっぱり小さな声で謝りました。
それからやっと、森はまた静かな日々を取り戻しました。いつものように川はせせらぎ、風がそよそよと鳴るだけでした。でもなんだか前に比べて、誰かの笑い声が響くようなことが少なくなった気もしました。
そんな静かな森の川辺で、小さなキツネとおしゃべりなカエルが、なにやらコソコソと話していました。
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