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ピンクのスーツケースとともに

年甲斐もなく、ピンクのスーツケースを使っている。ピンクどころか真っピンク。21、2の頃にイオンで購入したと思う。

今から10年以上前は残業とか出勤日数とか、かなりグレーだった。とくにアパレル業界は不規則で、若いなりにやりがいもあったし、楽しい仕事だったけど、まとまった連休が欲しいなんて言い出せない雰囲気があった。

お盆とか正月とか、世の中の休みは休みではないし、むしろ戦い。3連休がもらえたら小躍りした。この仕事をしている限り、4日以上の休みは夢のまた夢だと当時は覚悟していた。

だから運良く5連休がもらえたときは小躍りどころか、踊った。5連休になった経緯は割愛するけど、とにかく初めての5連休。

さぁどうしよう!

もともと海外とか留学に憧れていた私は、どうせなら日本を出たかった。でも一人はむり…ダメもとで仲良しの友だちを誘ってみたら、ふたつ返事でまさかのOK。

5連休まで1か月を切ったあたりで、グアム行きが決まる。

そうと決まれば、あとは準備。旅行会社に行ったり、パスポートもないしバタバタ。もちろんスーツケースもなくて、慌てて夜のイオンに車を走らせた。

スーツケース売り場は思っていた以上にカラフルだった。青、赤、緑、黒…いつもなら間違いなく黒とか白をチョイスしただろうに、その日は違った。

お持ち帰りしたのは、まさかの真っピンク。

真っピンクを選んだ理由は、ひと目で自分のスーツケースだと分かるようにしたくて。空港で多くのスーツケースが流れるなかで、分かりやすいほうがいいと、友だちにアドバイスされ決めた。

あと、浮かれていたのもあると思う。笑

まさか30代半ばを過ぎても使っているなんて、1ミリも想像していなかった。黒っぽい服が多いから、真っピンクは映えて映えてしかたない。たしかに空港でも見つけやすかった。

気がつけば、かれこれ十数年の付き合いになる。グアムをはじめ東南アジアや日本各地。出張で使ったり、結婚していたときは夫婦の旅にも付き合ってもらった。

ボディに残るステッカーや傷は、長い時間をともに過ごした証。いろんな思い出が詰まっている。

でもそろそろ寿命かもしれない。

ここ数年、タイヤの音がガタガタ気になるようになってきた。コンクリートはまだいいけど、道路状態によっては視線も気になる…。十数年使えば当たり前か。むしろ、こんなに働かされるなんて、スーツケースもびっくりしてるよね。

そんなことを、名古屋への旅仕度をしながら考えていた。一緒に旅するのは、もしかしたら最後になるかもしれないね。今回も楽しい旅にしよう。

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