アイスを食べたい娘は。
大きな室内プレイランドで目一杯遊んだあと。
「あー、アイス食べたいなー」
と娘が言った。目の前にはセブンティーンアイスの自販機。
子どもの頃、思いっきり遊んだあとに食べるアイスは格別だった。
ポカポカと熱くなった身体に、冷たくて甘いアイスがたまらない。
まさにいま。アイスを食べたら最高な気分になるだろう。
ぼくは、娘を見下ろしてニッコリと笑いかけ、150円を渡した。
娘の目が自販機に映るアイスを見つめる。プレイランド内のジャングルジムに登るときと同じ、真剣な目つき。
「パパ、どうしよう。迷っちゃう」
どのアイスにするのかは、彼女にとってとても大きな決断なのだ。ぼくも子どもの頃、なにを選ぶかずっと決まらずに、親にヤキモキされていた。
はやる娘の指がイチゴ味に向かい、引っ込んだ。
そしてそのままソーダ味に向かい、ピタリと止まる。
大きなため息をひとつ。
彼女は気がついたのだろうか。
彼女は、改めて自販機を見つめる。
握りしめている手に、ギュッと力が入る。
「決めた」
小さく呟くと、再び彼女はボタンめがけて指を伸ばす。
やっぱり彼女は気がついてはいなかったようだ。
まだ、渡したお金がその手の中に握られたままであることに。
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今日も見に来てくれてありがとうございます。
ボタンを押してもアイスが出ない自販機に向かって「壊れてんで! これ!」と憎々しげに呟く娘のことが、ぼくは大好きです。
ぜひ、明日もまた見に来て下さい。
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