人の文章のどこに嫉妬するのか。
文章を書くようになって、人の文章に嫉妬するようになった。
それまでは、おもしろい文章を読めば素直におもしろがり。すばらしい文章を見れば素直に感動していた。
書くことを職業にしている人の文章はもちろん、ブロガーや「はじめて書いてみました」というようや人の文章まで、それぞれただ楽しく読んでいた。
だけど、いつのころからかステキな文章を目にすると、胸の奥がムワッとするような、重たい気持ちを感じるようになった。
それが「はじめて書いてみました」というような紹介をされていればいるほど、その感情は重たく広がっていった。
「こんな文章は、とうていぼくには書けない」
読みながらくすりと笑ってしまった瞬間、感動で胸に痛みを感じた途端、その文章とはまったく関係のない嫉妬の感情が顔を出す。
よく言えば、ぼくもそれだけ一生懸命書き続けているということだろう。
悪くてとらえれば、自分の文章との差がそれだけ大きいのだと、いうことだろう。
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文章、と言っているけど。
嫉妬するのは、じつは「文章」ではない。つまり、描写の豊かさやボキャブラリーの多少や、リズムの心地よさ、などに嫉妬するわけではない。
嫉妬するのは、圧倒的に作者の持つ「視点のおもしろさ」だ。
同じ出来事を体験したときに、どういった視点でとらえるかで、できあがるメッセージはまったく違うものになる。
その視点のおもしろさがあるから、文章のプロでなくてもおもしろい文章が書けるのだろうなと思う。そして、そう感じた瞬間。ぼくはその文章に嫉妬するのだ。
おもしろい、すばらしい文章があふれている世の中になったんだなぁ。
では、また明日。
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