「もうこのオモチャは卒業」なんて勝手に決めないで。
子どものオモチャって、どんどん溜まってしまいませんか。
レストランでもらえるオモチャ、街を歩けば子どもに風船やらなんやら配っていたり、ショッピングモールを歩けばガチャガチャ台に必ずぶつかる。
オモチャ箱はすぐにいっぱいになるし、遊んだオモチャは出しっぱなし。
子育て家庭が片付かない要因の7割くらいを占めるんじゃないかって思うのがこのオモチャ問題。
▷ 「もうこの絵本は卒業でいいね」
「片付けさせたい」って思う気持ちが先走り過ぎて、つい「もうこの絵本は卒業でいいね」なんて、一度だけ言ってしまったことがあります。
それは幼児用の絵本でした。
オモチャを一緒に「いる」とか「いらない」と選んでいたときです。
たくさんある絵本も整理しようと、ぼくが手に取ったのは幼児用の絵本。
オモチャや絵本には「何歳用」なんて使用年齢の目安が書いてあるから、「ほら、もうこれは2歳の子ども用だよ。君はいま何歳?」なんて、子どもの大人になりたい心を突いてみたりして、手放すことを暗にうながした。
「5歳」と答えた娘は、眉間にシワを寄せて困った顔。
「これ、大事なんだけど捨てなきゃダメ?」とぼくを見上げながらつぶやいた。
その瞬間、ぼくはとんでもない過ちを犯してしまったことに気が付きました。
「自分で選ばせる」なんて言いながら、ぼくは、ぼくがオモチャの要不要を選ぼうとしてしまったのです。
▷ 「卒業」だなんて、都合よく言い換えないで
「卒業」なんて、いかにも成長の証のような言い方をしたけれど、ストレートに言えば「捨てなよ」です。
そして自分が大切と思っている物を親から「捨てなよ」と言われて、娘は困ってしまった。
娘の表情と言葉からはそんな気持ちが伝わってきました。
ぼくは慌てて「捨てなくていいんだよ」と言い直し、大いに反省しました。
▷ 伝えるのは物を捨てることじゃなくて、物を大切にする方法
片付けでは「捨てること」が大切だってよく言われます。「捨てる」って言葉が嫌で「手放す」なんて言い換えたりもしますが、ようは同じこと。
でも本当は「捨てること」が大事なんじゃないよなって思うのです。
片付けはよくダイエットに例えられます。
ダイエットで大切なのはきっと「痩せる」ことじゃなくて、「健康になること、美しくなること」だと思うのです。やっぱりこれは片付けも同じ。
「捨てる」が大事なんじゃなくて「物を大切にする」のが大事。
だったら子どもには、まず何よりも「物を大切にすること」「快適に暮らせる環境をつくること」に一緒に取り組んでいかないといけない。
でも、物を大切にするって何をすることなんだろう??
▷ 物を大切にするって何をすること?
「ちゃんと使う」「キレイに扱う」「長く使い切る」なんて風に「使う」にフォーカスを当てて大切にするって考えることもできます。だけど、正直使い方については自分の好きに使ったらいいと思うのです。
何年も見てないないアルバムだけど「大切」だったりするし。
遊び倒して部品が取れたり壊れたりしていても、「大切」なオモチャだってある。
使い方で大切かどうかを決めてしまうのは、きっと他人のエゴで。
だから、物を大切にするっていうのは、
なんじゃないかと思うのです。
簡単に言えば「しまう」ということなのですが。
物を大切にする、というのは自分が使いたいように大切に扱うことはもちろん、周りにも大切に扱ってもらうってことでもあると思うのです。
いくら自分が「大切にしてるんだ」と言っても、そこらへんにゴミのように投げ出されていたら、その大切は伝わりません。だから、適当にオモチャ箱に放り込まれたり、ゴミと間違えて捨てられたりする。
オモチャに限りませんね。プリント類とか、文房具とか、描いた絵とか、他にも割引チケットとかほぼすべての物が当てはまりそう。
だから、周りにもちゃんと「大切にしているんだ」ということが伝わるようにしないといけない。
別に桐の箱に入れて大事に保管する必要はないけれど、物を「しまう」ということは、それを「大切にしているんだよ」と周りに伝える行為でもあると思うのです。
親は「このオモチャ高かったから捨てないで欲しいな」とか「どうせ遊ぶならこっちの知育玩具で遊んで欲しいな」って思います。そりゃあ、そうです。
でも、だったらその気持は子どもの気持ちとして語るんじゃなくて「親の気持ち」として伝えるべきかもしれません。
ぼくはもう「このオモチャは卒業」なんて言ったり「こっちのオモチャの方が面白いよ」なんて勝手に決めつけたりしないように気をつけます。
「パパは、この玩具で遊んで欲しいと思ってるから一緒に遊ぼう」とか「これ高かったから、もうちょっと遊んで欲しい!」なんて本当の気持ちを伝えたらいい。子どもだって、ちゃんとわかってくれます。で、嫌ならどうしたって遊びやしない。そりゃあそれで仕方がない。
子どもに「片付ける」ってことを教えるのは、時間がかかるし、親だって迷う。でも、お互い迷いながら「物を大切にすること」を改めて確認し合えればいいんじゃないかなって思うのです。
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