一輪挿しシリーズ
春の気配がする頃、きっかけは忘れたが、女優の山田真歩さんが書いた椿をテーマに置いた一行詩を聴かせてもらった。輪郭のはっきりした言葉たちが良く響く。これに曲を付けたら面白そうだねという話になり、早速作曲することにした。
後日送られてきたいくつかの一行詩からもひとつ選び、2曲のアカペラの楽曲を書いた。すぐに簡易録音し、メールで送る。少しして、一行詩の解説と閃きメモ(そう書いてあった)の音声ファイルが送られてきたので聴いてみると、椿の曲がなんとなく言葉の印象から描いていたイメージと違っていたので、丸ごと作曲し直した。
慎重に擦り合わせていき、6曲が完成した。初めはアカペラが面白いかなと考えたが、徐々にポップでとっつきやすいものにしたいなと思うようになり、アレンジの行き先を変えた。出来たものから山田さんに送り、反応を窺った。笑った、吹き出した、というような反応には特に手応えを感じた(ふざけてないものもある)。
打ち込みに一部ギターやベースを重ねたトラックに歌を乗せる。山田さんの真っ直ぐ通り抜けるような歌声が楽曲に説得力を与える。話しているのが歌に置き換わった印象。そのままなのだ。
完成した録音トラックは、山田さんが絹糸で縫った刺繍の写真と共に、山田さんのInstagramで定期的に発表される。先日ひとつ目がお披露目された。1分以内というしばりがあるようで、完全版はSoundCloudで聴くことが出来る。
この創作の中での収穫は、道を歩いていて植物を意識するようになったことだ。草花は見れば見るほど面白く、不思議な存在だ。どうしてこんな姿になったの?と心で問いかけると、そういうあなたは?と返される。