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「身体拘束」について

こんにちは、とも(@tomoaki_0324)です。

今回は、『「身体拘束」について』をお伝えしていきます。

☑ 筆者(とも)

記事を書いている僕は、作業療法士として6年病院で勤め、その後デイサービスで管理者を4年、そして今はグループホーム・デイサービス・ヘルパーステーションの統括部長を兼務しています。

日々忙しく働かれている皆さんに少しでもお役立てできるよう、介護職に役立つ情報をシェアしていきたいと思います。

「業務で身体拘束に当たりそうなことをしているかもしれない」
「もし拘束するらどうしたらよい?」
「身体拘束についてもう一度確認しておきたい」
「研修をしないといけないけど資料がない」

こんな方に読んでいただきたい内容です。

それでは早速お伝えしていきます。


「身体拘束」とは

「身体拘束」とは"こちら側(介助者側)の都合で、相手の自由を奪い、動きを封じ込めること"です。

どのような方法で封じ込めるのかというと、3種類の方法があります。

  1. Physical Lock:ミトンなどでくくる、閉じ込める、など物理的に行うこと。

  2. Drug Lock:薬、特に効精神薬などを使って行うこと。

  3. Speech Lock:「あぶないから立たないでくださ~い」など言葉で行うこと。

身体拘束とされる行為を例をあげてみます。

・自分で降りられないように、ベッドを柵(サイドレール)で囲む。

・点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、又は皮膚をかきむしらな いように、手指の機能を制限するミトン型の手袋等をつける。

・車椅子やいすからずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y字型抑制帯や腰ベルト、車椅子テーブルをつける。

・立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるような椅子を使用する。

・行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる。

平成13年3月厚生労働省「身体拘束ゼロへの手引き」より一部抜粋

身体拘束禁止規定

身体拘束禁止規定はこのようになっています。

「サービスの提供に当たっては、当該入所者(利用者)又は他の入所者(利用者)等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他入所者(利用者)の行動を制限する行為を行ってはならない」

介護保険法上の規定

「緊急やむを得ず」身体拘束を行うことが認められる場合とは、「切迫性」、「非代替性」、「一時性」の3つの要件を満たし、これらの要件の確認等の手続きが極めて慎重に実施されているケースに限られます。

切迫性:利用者本人または他の利用者等の生命または身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと

非代替性:身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替する介護方法がないこと

一時性:身体拘束その他の行動制限が一時的なものであること

「緊急やむを得ず」身体拘束を実施する場合、上記の3要件の判断に加え、て慎重な手続きを踏まなければなりません。

手続きの内容は、以下5つのポイントを踏まえる必要があります。

1,身体拘束廃止に向けた体制づくり

上記3つの要件に該当するかどうかの判断等が、担当スタッフ個人や数名のスタッフで行われるのではなく、「身体拘束廃止委員会」のような組織で施設全体として判断されるような体制を整える必要があります。

身体拘束廃止委員会ではまず、事業所としての身体拘束廃止の基本方針を策定する必要があります。

そして、

  • 従事者全員への周知徹底方法

  • 契約関係書類への明示

  • 認知症高齢者へのケアと事故予防への積極的な取組み(リスクマネジメント)

  • 代替手段の先駆事例の収集とケアへの活用

  • 事故報告およびヒヤリハットの記録整備(原因分析と再発防止策の検討)と再発防止への活用

などに取り組みましょう。

2,カンファレンスの実施

緊急やむを得ない状況の可能性があれば、身体拘束廃止委員会等の臨時会を開催します。

そして拘束による利用者の心身の弊害、拘束をしない場合のリスクについて検討し、①切迫性②非代替性③一時性の3要件を満たしているか慎重に判断し、その理由を整理します。

3,利用者本人や家族に対しての説明

ご利用者・家族向け説明書を用い、身体拘束の具体的な内容・目的・理由・拘束期間/時間帯・場所・拘束による弊害等を説明します。

十分な理解を得られた場合は、説明書に説明を受けた旨の記名押印をいただきます。

すぐに理解が得られない場合、納得を得るための説明内容の検証と継続的なかかわりを務めましょう。

4,記録と再検討

記録:

介護保険法の基準条例、老人福祉法施行規則において身体拘束の記録の作成と保存年限が定められています。

記録は5年間保存しておきましょう。

再検討:

身体拘束開始後、身体拘束廃止委員会等の定例会でのカンファレンス(場合によっては、臨時会でのカンフゔレンス)を開催し、身体拘束廃止に向けた検討を行います。

※定期的なカンフゔレンスは少なくとも1月に1回は実施すること。

5,拘束の解除

再検討の結果、身体拘束を継続する必要性がなくなった場合は、速やかに解除します。

身体拘束実施予定期間内に、拘束解除を行えないと判断した場合は、あらためて「ご利用者・家族向け説明書」により説明を行います。

説明により、十分な理解を得られた場合は、説明書に説明を受けた旨の記名押印をいただきましょう。

身体拘束がもたらす弊害

身体的弊害、精神的弊害、社会的弊害の3つにまとめます。

1,身体的弊害

ご利用者の関節の拘縮、筋肉の低下といった身体機能の低下や圧迫部位の褥瘡の発生などの外的弊害をもたらします。

また食欲の低下、心肺機能や感染症への抵抗力の低下などの内的弊害をもたらします。

他には、無理な立ち上がりによる転倒事故、乗り越えによる転落事故、抑制具による窒息などの大事故を発生させる危険性があります。

2,精神的弊害

ご利用者の不安や怒り、屈辱、あきらめといった大きな精神的苦痛を与え、そして人間としての尊厳を傷つけます。

認知症がさらに進行し、せん妄の頻発をもたらすおそれもあります。

家族にも大きな精神的苦痛を与えます。

入所させたことに対する罪悪感、怒り、後悔などが生じます。

職員も、自らが行なうケアに対して誇りを持てなくなり、安易な拘束が全職員の士気の低下を招くことになります。

3,社会的弊害

メディアに取り上げられることで、社会的不信、偏見を引き起こすおそれがあります。

おわりに

身体拘束は、ご利用者の人権侵害となりかねない行為です。

しかし、ご利用者の身体の安全を守るため、または人手不足のためなど、やむを得ず身体拘束を行わなければならない場合もあります。

その際には「切迫性」「非代替性」「一時性」という要件を満たしているかどうかがポイントになります。

また、身体拘束を行う際には、しっかりと記録を録りましょう。

不要なトラブルを避け、自分の身を守るためには、上記の3要件が満たされている旨の記録を残すことが大切です。

それではこれで終わります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今後も、管理職又はリーダーであるあなたにお役立てできる記事を投稿していきますので、スキ・コメント・フォローなどいただけると大変嬉しいです!

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