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必要なのは、事例なのか?

いくつもの事例紹介サイト

GIGAスクール構想がはじまってから、文部科学省が公開する ICT 教育事例紹介サイト「StuDX Style」をはじめ、3OS と呼ばれる Apple、Google、Microsoft の各社、それぞれの自治体、さまざまな企業などが教育 DX の成功事例を紹介するサイトを公開している。

以下のサイトによれば、

そこで文部科学省は2021年12月、ICT端末を活用した授業や学習活動の実践事例を掲載する「StuDX Style」を開設・公開しました。

「StuDX Style」とは?【知っておきたい教育用語】|みんなの教育技術

とあるので、端末整備がひと段落した頃にはこのサイトが運用され始めていたことになる。その後、それぞれのサイトでは数多くの成功事例が紹介されている…

しかしながら、それらの成功事例はうまく広まっているだろうか?

なぜ事例が広まらない?

気のせいではないと思うが、これだけの成功事例が紹介されている割には、学校現場の ICT 化は思ったほど進んでいないように感じられる。中には、紹介されているような事例が実践されている学校があることも事実だが、そうではない学校も多いんじゃなかろうか?

前述の事例紹介サイトでは、これまでにない切り口の事例を追加されているが、もう事例を増やすことに注力するのではなく、紹介されている事例を実践できない理由にフォーカスを当てたらいいんじゃないだろうか?

きっと、

  • 管理職が ICT の利用について理解していない

  • 個人情報の取り扱いに不安がある

  • 児童生徒本人や保護者への同意が取れていない

  • 端末の利用方法に制限がある

  • 新しいことを覚えるための時間が足りない

落ち込む会社員たちのイラスト

といった様々な理由があって、それによって事例が実践できないのだと思います。そういった方々に、更に事例が紹介されても状況が変わることはほとんどないのではないでしょうか?

更なる普及には?

更なる普及に必要なのは… 違うシチュエーションの事例ではなく、

  • 現状で紹介されている事例を実践できないケースの障害になっていることへの対応策

なんじゃないかと思います。

これまでに紹介された事例を実践できない理由を集めて、それらの理由への対応策を揃えた方が、実践を追加するよりも効果的なんじゃないでしょうか? 事例を紹介することも大切だとは思いますが、その効果が得られないのであれば別の手立てを考えるべきなんじゃないかと思います…

その手立ても考えられてはいるのでしょうが、事例紹介とリンクしていないような気がしてます。明確に「これまで○○の事例が実践できなかったことへの対応として」といった感じで案内しないと、行政文書的な案内ではうまく伝わらないと思うのです。

文科省が公開している「教育DXに係る当面のKPI」を達成するためには、闇雲に旗を振っているだけでは前に進まないはず。これまで旗を振っていても、思うように前に進んでいないのですから…

教育DXに係る当面のKPI(資料4 文部科学大臣提出資料  p.3より)

文部科学省や教育委員会が、学校現場の不安や障壁を取り除く手立てが必要だと思うのです。学校現場が求めているのは、「何をすればいいの?」という事例ではないような気がしてなりません。

紹介されている事例を実践している自治体・学校があるのですから、それを実現している背景・体制を紹介し、広めるべきだと思います。

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