知らないキャバ嬢からとつぜんDMが来て話を聞くとやる気が出た話

 私はインスタというものに疎い。特にストーリーという機能にはすごく弱い。なんとなく可愛いというか正直ゲスな目線でフォローした同い年の女性のインスタのストーリーの「イベント来てくれる人」という投稿に「はい」を押したことから全ては始まった。
 
 「来てください」とDM。僕は、やってしまったと思った。これから何が始まるのか、金品を要求されるのかと心底震え上がった。なんとか「未成年なのですみません」丁寧にお断りすると、以外にも「大丈夫ですよ」「こちらこそすみません(笑)」と来た。どうやら、思ったより相手は善良な人間らしい。
 
 こんな夜のお仕事をされてる、しかも同じ年齢の人間に話を聞けるタイミングなどもうないのではないか。これは貴重なチャンスだといくつか彼女にいくつか質問をしてみた。向こうから声をかけてきたのだ。こちらの質問くらい少し答えてもらってもバチは当たらないだろう。

 どんな仕事をされているのか?いつも何時まで働いているのか?指名とか売上とかは何なのか?未成年なのにお酒をのんでもいいのか?などいくつか質問をするといろいろなお話がわかってきた。特に、給与に関するシステムはおもしろい。

 時給と指名による売上が彼女の収入であり、もし指名による売上が時給より少なければ時給が減る。また、イベントと呼ばれる期間に指名をもらえなければ6万円罰金、などとてもホワイトには見えない。

 しかし、そんな中腐らず彼女は頑張っているようだった。「やりがいはなんですか?」という質問をした。僕のクソ真面目な質問に少しウケたらしいが、「お客さんを呼んでそこそこ売上を作れたことですかね。。」と送ってきた彼女はいわゆるキャバ嬢のチャラチャラしたしたものとは違った真面目さを感じた。

 仕事柄から、やはり偏見は多いらしく、彼女自身も偏見だらけだったという。しかし、自分自身働いてみてあることないことわかったらしい。テレビやドラマで描かれるキャバクラはどうしてもゲスなイメージが先行するが、そうではないと彼女は言っていた。どうやら彼女は楽しく過ごしているようだ。(もちろん、リスキーな職であるのは間違いないだろうが。)

「偏見はそれぞれあると思うんですけど(中略)毎日生きるために働いて偉いって自分を褒めてます(笑)」

 彼女は、笑ってそう言ったが、本当にそうだと感じた。どんなことであれ頑張っている人間は素晴らしい。それは中身が、例え夜の仕事であっても。

 彼女は「夢もないのに行きたくない大学に行って奨学金を返していくのが不安で嫌だったからフリーターのち夜の仕事をはじめた」と言っていた。どうやら彼女は夜の仕事にやりたいことを見つけたらしい。

 なぜか、大学に行くことが正義とされ、夢の有無、やりたいことの有無関係なく大学に行っていないと話にならないということには最近僕も疑問を感じる。僕自身、ちゃんと意志を持って大学に行けているのか、惰性で毎日を過ごしていないか、とハッとさせられた。いかなる状況でも頑張る人の話を聞くのは刺激になる。

 最後に彼女は「お店、来てくださいね」と再度メッセージを送ってきた。「お金ないんですけど?」と送ると「稼いで。頑張って。」と。

 こんな一銭も貢いでいない人間のことをいつまで彼女が覚えているかは知らないが、いつか店に行けたら彼女にお礼とドリンクくらいは払ってもいいかなと思った。

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