いきなり後ろから衿をつかまれた話
呉服屋に嫁いだものの、
”着付けもできない、知識もない、何もわからない”
3拍子揃った、店にとっては ”ダメ嫁” だった私は
とりあえず着付け教室に通い、なんとか着付けはできる
ようになった。当時は『着られるようになった』...程度の
着付け具合だった。
誰かに着せるとか、教えるとか、そんな状態ではない
そんな頃、市内の呉服屋さんが揃って開催していた
合同展示会に顔を出すことになった。
商品知識などないけれど、”嫁の顔つなぎ”として、
会場に行かされたのだ。
着物を着て行ったのだけれど、満足がいく着付けとは
言い難かった。衣紋(首の後ろは拳1つ分抜いて着る)が
うまく抜けていない、初心者にありがちな着姿。
自分でも十分自覚していたけれど、着付けをやり直す
時間がなかったのだからもはや仕方がない。
他店のオーナーさん、女将さんたちが
「あら〜よく着たわね」と笑顔で迎えてくれ
「よろしくお願いします」とごあいさつ。
そこへ、ある店舗の店員さんが近づいてきて
「自分で着てきたの?エライわね」
と声をかけてきた。
(エライ? )
(あぁそうですよね。)
(これは褒めてるわけじゃないですね。)
笑顔だけど嫌味がにじみ出ていて、まるで
ドラマのワンシーンのようだった(笑)
一応、大人対応で
「ありがとうございます」
と笑顔で返してその場を離れた。
その時…その時です!!
なんの声掛けもなしに、後ろからいきなり
着物の衿をつかまれてグッと持ち上げられたのは!!
危うく、お客様方がいる会場で転ぶところだった。
体幹がしっかりしててよかった。
「え?」
と振り返ると「衿がね」とつぶやく真顔のその人が。
私より小さい彼女が、163cmある私の衿を掴んで持ち
上げるには結構の力が必要だったはずだ。
それほど気に入らなかったのか(^^;;
本当にドラマに出て来る意地悪な脇役のよう。
はいはい...衿が抜けてないのは承知しています。
これでも一生懸命着て来たのです。
プロだらけの会場にそんな姿で来るなと
言いたいならそう言えばいいじゃない?
ど素人の新人だけど、あなたの部下じゃないしっ!!
な〜んて言い返せるわけもない(苦笑)
2度とそんなことをさせないくらい、
着付けの腕を磨かなくちゃ!!
そう決意した出来事だった。
着物警察、おそるべし。
でも、悪い見本に早々に触れることができて
反面教師になっただから、プラマイプラ!!
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