ないものねだりだけど

常々、私は営業向きではないと思っている。

事務作業していた方が精神的に楽で、黙々とやる仕事
に集中力を発揮する。大して苦だとも思わず作業して
「早いね」「しかもきれい」とお褒めいただくので、
根っからの事務方だと自負している。

だけど、
仕事上、お客様とのやりとりをしなければならない。
商品のおすすめをしたり、
講座やイベントを開催したり、
初めての家を訪問したりもしている。

これ、本音を言えば、結構しんどい。
プレッシャーにやられて体力の消耗が半端じゃない。
帰りにご褒美のチョコでも買ってこないと辛い。

そんな私から、生まれながらに天才的な営業センス
を持った子が生まれた不思議。
"本当に我が子か?"と思わず目をゴシゴシしてしまう
くらい小さい頃からおすすめ上手。
思わず「じゃぁ、それにします」と言いたくなる
ような言葉をかけるのがうまいのだ。
教えたわけじゃない。
いや、私に教えられるわけがない。
持って生まれたセンス以外の何物でもないと思う。
DNAの成せる技だとすれば、間違いなく夫側の血。
でも、夫よりも義母よりも言葉かけがうまいのは、
空間認識力と状況判断力の高さもあると思う。
お客様が何を欲しているのかの察知力と、
イラっとさせない声かけ。
すごいな〜と感心するばかり。

今、彼は某自転車チェーン店のアルバイトをしている。
販売にあたっての説明を店長や先輩から聞いても、
すぐに実行できるアルバイトばかりではないと思う。
私だったらきっとテンパって”いかにも入りたてです”
という使えないアルバイトになりそうな業務なのだ
けれど、わずか3日目にしてウン万円もの品を売り
上げたというから驚いた。
「まだその商品のこと教えてないよね?」
と店長も驚く離れ業をやってのけたのは、その商品
と同じタイプの品を高校時代に使っていたことが
あるからなのだけれど、だからってお客様を納得
させて売るのは容易ではないと思う。
元々欲しいと思って来店されたお客様だったのだろう
けれど、自信を持って堂々と販売するって、親の私は
逆立ちしたって敵わない。

普通は1ヶ月以上働いた後にしか派遣されない
「応援」と称した他店舗への派遣もすでに経験済み。
副店長から他店舗店長へ「期待の新人を送り込んだ」
など言われるくらいかわいがっていただいているのも
持って生まれた特性だろうなって思う。
しかも、話を聞くと楽しそうなのだ。

意図せず、嫁ぎ先の家業の手伝いをしている
営業苦手な私。
あの才能が羨ましい。
ないものねだりだけど。

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