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読書記録10『雲を紡ぐ』

2022年、どんな本を何冊くらい読むのか、
(漫画や絵本も含めて)記録してみる。

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10冊目は『雲を紡ぐ』  伊吹有喜 著

ち あ き さんのnoteで紹介されていた本を
早速取り寄せてみた。
「逃げ出してしまいたい」
そんな思いを抱いている人に

とオススメされていた本。

今すぐ逃げ出したいようなことがある訳では
ないけれど、逃げ場のない状況は良くない。
追い詰められてしまうから。

「分かり合えない母と娘」
壊れかけた家族は、もう一度、一つになれるか?
羊毛を手仕事で染め、紡ぎ、織りあげられた
「時を越える布・ホームスパン」をめぐる
親子三代の「心の糸」の物語。
いじめが原因で学校に行けなくなった高校生・美緒の
唯一の心のよりどころは、祖父母がくれた赤い
ホームスパンのショールだった。
ところが、このショールをめぐって、母と口論になり、
少女は岩手県盛岡市の祖父の元へ家出をしてしまう。
美緒は、ホームスパンの職人である祖父とともに働く
ことで、職人たちの思いの尊さを知る。
一方、美緒が不在となった東京では、父と母の間にも
離婚話が持ち上がり……。
実は、とてもみじかい「家族の時間」が終わろうと
していた――。
「雲を紡ぐ」

娘の言い分、母の言い分、父の言い分。
家族でも立場や状況はそれぞれ違っていて
それぞれが誰にも言えない葛藤を抱えている。
「助けて」って言えない。
言ってもわかってもらえないと思っている。
実際、言葉にしても期待しているような返事は
きっと返って来ない(という諦め)。
私にも思い当たることがいくつもある。

かなりキツイ言葉を発するお母さんも、
いろんなものを抱えていていっぱいいっぱい。
それでも、あのセリフの数々は耳を離れない
だろうと思う。
あの言い争い場面は衝撃だった。
勢いで言ってはいけない言葉が口から出る。
一度放ってしまった言葉は取り返しがつかない。
私でも心のシャッターを閉めてしまうと思う。


美緒ちゃんに、逃げ場があって本当によかった。
『助け』『心の拠り所』となる赤いホームスパンと
祖父とその周りにいる見守ってくれる人たちの存在
がとてもあたたかい。

宮沢賢治さんの本を読んで、旅行で訪れた岩手県が
大好きになって何度か足を運んだ。小岩井農場を
訪れたときはこのまま住んでしまいたいと思った
ほど惹かれるものがあった。
そんな風景を思い浮かべながら読み進めた。

大事なもののための我慢は自分を磨く。
ただ、つらいだけの我慢は命が削られて行くだけだ。
「雲を紡ぐ」祖父の言葉

立ち向かう勇気も必要だけれど、
どうにもならないときは逃げてもいい。
心ときめく場所で、大事なもののために
我慢しながら努力を続ければ、明るい未来に
手がとどくはず。

心をぎゅっと掴まれるようなオススメ本。
皆がよい方向を向けてよかった。
名言の数々を書き留めるために、もう一度
読み返してみようと思う。

追記 : ホームスパンというものをこの本で
知りました。工房を見学に行きたいなぁ。

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