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ひかえめなタンザニアの人がどうして「お金貸して」を繰り返すのか

マンボ!

タンザニア在住ライターのほりともです(@tmk_255)です。

タンザニアでの生活では、文化の違いからとまどうことも多いのですが、その中でも一番びっくりするのが「お金貸して~」の頻度です。よく言われます。

その一方で、タンザニアの人は、日本人に似ているところがあって、自己主張をそれほどしないし、遠慮するタイプの人が多いイメージです。

どうして、そんな控え目な優しいタンザニア人が、いつも「お金かして」って言ってくるんだろう…

日本でも「お金」にまつわる悩みはつきないですよね。子供の学費、将来の年金生活、貯金だけじゃなくて投資もしたほうがいいの?と、私たちみんなが抱えているお金にまつわる不安。

今回はタンザニアの人たちがどうして「お金貸して~」と言ってくるのかを一緒に考えることで、あなたの抱えるお金の悩みへの向き合い方に新しい風を吹かせることができたら嬉しいです。


外国人を悩ますナンバー1

タンザニアで外国人の友達に会うとだいたいみんながいう不満はこれ。

「もう聞いてよ。またお手伝いさんにお金を貸してって言われたよ」
「困ってるのはわかるから、助けてあげたいけど、なんだかいつも言われるから嫌な気分になる。でも助けてあげなかったら自己嫌悪になる」
「もう、この国はどうなってんの?貯金とかしないの?」

と不満。タンザニアでは、お手伝いさんを雇うことは一般的で、外国人だけでなく、タンザニア人家族もお手伝いさんを雇っています。外国人の家族だと、お手伝いさんに加え、家の警備、ドライバー、庭師などタンザニアの人を雇う家族も多いんです。

そういったタンザニアの人たちに、「お金を貸して」と頼まれることが本当にかなりの頻度であるんです。

学校の先生まで…

私も、家でお世話になっているお手伝いさんや庭師のおじさんに、「お金貸して」と言われたことはあります。周りの友達から事前に聞いていたので、初めて言われた時は、心の準備はなんとなくできていて、「これだ!」と思って対応しました。通常、雇っている人なら、給料の前借りになるので、それは必要なら対応する人が多いように思います。

私が初めて、お手伝いさんから「お金貸して」と言われてびっくりした時の記事はこちら。

私がもっとびっくりしたのは、幼稚園の先生や、いつも挨拶してくれて感じのよい近所のお兄さんにまでお金を貸してと言われた時。子供と仲良くしてくれていて、とても信頼していた人だったりすると、正直ちょっと悲しくなります。

日本で、子供が通う学校の先生に「●●君のお母さん。ちょっと相談が…お金貸してくれませんか?」ってありえないですよね。

そして、みんなの前置きパターンが同じなので、もう、「これは来るな」と予想できるようになりました。

「ビッグトラブルが起きた!話を聞いてほしい」
この言い方から入るからです。

「子供がけがをしてしまって、病院に行かないといけないんだ」
「叔父が亡くなって遠くの町までバスで葬式に行かないといけないんだ」
「ここの仕事だけでは食べていくことができなくて」
「子供が生まれて、家計がきびしくて」

切実にお金が必要な状況がわかるので、聞いていて辛くもなりますし、もちろん必要な時は給与の前払いの形でサポートします。

貸すことは生きていく知恵

タンザニアでよくある「お金貸して」問題。どうしてこれがNGなのかというと、日本やその他の国では、「お金が関わると友情にひびがはいる」という概念があるように思います。

友情や人間関係にお金の問題を持ちこむのは、相手に失礼だし、良いことはない、そんな価値観が今まで普通でした。タンザニアでは、そうではないみたいです。

タンザニアの人は、そこまで親しくない人にまでどうしてお金を貸してって言えちゃうんだろう…この謎にわかりやすく答えてくれたのが、文化人類学者でタンザニアでも長年調査をされてきた小川さやか氏の考察でした。

「緩い貸し借り」の関係をつくることで、ピンチになったときに助け合うことができる。それもタンザニアの人たちの知恵ですね。彼らの多くは、稼いだお金を貯金せずに、人に投資します。支援や贈与という形で人にお金をあげちゃうわけです。

タンザニアの友人たちに「稼いだお金はどこにあるの?」と聞くと、しばしば「友だちのところにある」と返答されます。正確にいうと、友だちが困っているときに援助してあげたということです。援助された友だちの方は借りがあるので、逆にその人が困っているときには援助してあげようということになります。その相互支援の関係がセーフティネットになっているわけです。お金による支援や贈与は難しいとしても、助け合いのネットワークをつくるという考え方は、これからの日本にも求められるようになるのではないでしょうか。

仕事を柔軟に変えていく「生計多様化戦略」タンザニアに見る働き方 文化人類学者小川さやか氏

まとめ

それぞれの持つお金の悩みは深刻だし、これは尽きることがない永遠の悩みだと思います。私もそうです。

でも、タンザニアで、気軽に「お金貸して~」と言っちゃえるタンザニアの人たち、そしてお金で助け合ってお金を回して生きていく彼らの姿は、「お金貸して」にイライラっとするのではなく、お金との関係や将来への不安をもう少しゆるめてもいいのかなと、そんなことを考えさせてくれます。

とは言いながら、今日も「お金を貸して」って
どこかの誰かにまた言われないかな…なんて若干おどおどしながら
1日をスタートします。

#海外生活
#お金について考える

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