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【潜入レポート】タンザニアの女の子のため生理ナプキンを作る日本人起業家の工場へ!

タンザニアで生活を始めてから、ポッドキャストで「アフリカの日本人女性の起業家インタビュー番組」を配信しています。

その中でも、反響が大きかったゲストの一人が、タンザニアの女性を支援するため、生理用ナプキンの製造販売をしているという菊池モアナさんの放送回でした。

今回は、そんなモアナさんの工場を見学する機会を特別にいただきました!

私自身も、タンザニアにきて、生理用ナプキンが日本のように気軽に手に入らないという現状を目撃する体験をしました。だから、モアナさんの事業はタンザニアの女性たちをド直球で支援していると確信します。

タンザニアで生理の貧困を目撃した記事はこちら。

今回は、日本人のモアナさんがどうやってタンザニアの田舎町で生理用ナプキンを製造しているのか、なかなか見ることのできない現場をレポートします。


どうしてタンザニアで?


菊池モアナさんは、大学生時代にタンザニアを訪れました。この時に出会った16歳の少女アナとの出会いがきっかけで、モアナさんは今の事業を始めたと話します。

医者になりたいという夢を持っていたアナさんですが、予期せぬ妊娠が発覚し学校は強制退学となります。避妊に関する知識も乏しいタンザニアで少女の望まない妊娠が今も問題となっています。

子供の父親の家族からも自身の家族からも「恥さらし」として家を追い出され社会に居場所がなくなったアナさんは、自殺を図るまでに追い詰められたそうです。

自身も日本に帰国後にシングルマザーを経験したモアナさん。タンザニアのアナさんとは違い、日本では多くのサポートに助けられました。

そういった日本の恵まれた環境に感謝する一方で、モアナさんは、全く逆の状況にあるアナさんのような女性たちを支援したいという気持ちがますます強くなったと言います。

アナさんだけでなく、シングルマザーのタンザニアの女性たちが夢をあきらめなくてもいいように、自分の人生をかけて応援したい。そんな強い想いを抱いて、モアナさんはタンザニアでのビジネスを決意しました。

外国人がいない小さな町へ


キバハの町の風景

モアナさんが販売するナプキンの商品名は「UHURU」。スワヒリ語で自由を意味します。この商品は、「キバハ」という小さな町の工場で製造されています。

私の住むダルエスサラームから、バスを2回乗り換えて、2時間ほどで到着。

外国人は一切みかけない田舎の町で、バスの中でも、バスを降りてからも、日本人の私たちはじろじろと周囲から見られました。

そこに、UHURUの商品のシールをカッコよくはりつけた乗用車に乗ったモアナ社長がお迎えにきてくれました。

どんな生理用ナプキン?

いよいよ、工場に潜入です。

楽しそうな音楽が流れる中、すばやく作業するスタッフたち

中に入ると、意外なことに楽しそうな音楽の音とともに、製造する機械の忙しそうな音が聞こえてきました。

工場に入ると、モアナさんがスタッフたちに一言。「今日は電気があと3時間しか続かない、残り3時間で作業を終えましょう!」いろいろな制限のある環境下で、工場を稼働させていることがわかります。

スタッフは7人ほど。機械を使いこなすチームと、できあがったナプキンを手作業で丁寧に織り込むスタッフたち。さきほどまで笑顔だったモアナさんが、真剣な社長の表情に変わり、スタッフたちに指示を出し、作業をチェックをしています。

インドから購入した大きな機械でナプキンを製造している

使用している機械は、手頃に購入できるという理由で、タンザニアではなく、インドから購入したそう。ナプキン製造用の素材も、同じ理由でインドから輸入しているそうです。

モアナさんの製造するナプキン「UHURU」は、最新技術を使用した極薄で超吸収するタイプ。 つまり、このUHURUの強みは、ナプキンの吸収率の高さなのです。タンザニアで一番売れている大手のナプキンの吸収率と比べる実験を目の前で行ってくれました。

UHURUナプキンの圧倒的な吸収力を実験で見せてくれるモアナさん

営業に行く時も、この実験をすると、だいたいUHURUのナプキンを買ってくれるそうで、説得力はバツグンです。

工場で楽しそうな音楽が流れているところが、タンザニアらしくていいな~と思っていたら、モアナさんによると、スタッフたちは、時々みんなでダンスをしていることもあるとか。

工場で働く若者たち

この工場で働いている若者たちの中には、モアナさんがこの事業を始めるきっかけとなったアナさんもいました。

とってもおしゃれな格好をして、楽しそうに、そしてきびきびと仕事をこなしているアナさんを見ると、モアナさんが話してくれたような壮絶な過去があった女性とは思えません。今はまた夢に向かって歩み始めたようです。

働いている方たち中で、お話をする機会があったのは、バイ(Vaileth)さんという20歳の女性。

学費が足りず大学の入学ができなかったバイさん(左)

彼女は、ダルエスサラムの大学の入学試験に合格したのですが、学費が払えず、1年は仕事をして資金をため、来年の入学を心待ちにしているそうです。

バイさんの夢は「医者になること」 どうしてか聞いたところ、タンザニアの女性を助けたいから、とモアナさんと同じ夢を持っていることがわかりました。

「タンザニアの女性は小さい時から、体を守るという観点では良い環境にいない。生理ナプキンが手に入りにくい問題もあるが、他にも女性特有の病気に、若い時からかかりやすい。そして、なんでもすぐに薬に頼るという良くない文化も根付いている。私は、ハーブを使った治療ができる医者になってタンザニアの女性を支援していきたい。」

そんな具体的な夢を熱く語ってくれました。

少女たちの夢が閉ざされることがない未来へ


LUNA社が販売する生理用ナプキン

モアナさんの工場は、7人ほどで稼働する規模の小さな施設です。しかし
この小さな工場からは、それぞれのスタッフが秘めた熱い夢や情熱を、そして、さらにタンザニアを良い国にするためにできることをしたいというスタッフたちの熱い思いを強く感じます。

資金面や、タンザニアが外国人の事業主に課す厳しい規制など、毎日、多くの困難に直面しながらも、27歳のモアナさんは、強い情熱と人生の使命をもって、大きな笑顔で一歩一歩、前に進んでいます。

モアナさんは生理用ナプキンを製造するだけでなく、タンザニアで行き届いていない性教育を学校にもっと広めるための活動も積極的に行っています。

LUNAの生理用ナプキンやモアナさんの活動に興味がある方は、ぜひこちらからモアナさんを応援してあげてくださいね。

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