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日本とちがう時が流れるタンザニア

私たちが海外旅行に行くと、イベントが予定通りに始まらなかったとか、電車が遅れたとか、そういう体験はよくあるんじゃないでしょうか。

ここタンザニアに住む私たち日本人にもよくある経験です。そして、タンザニアの人たちの時間の感覚が、日本人のそれと違うな、と感じるのです。

この記事では、日本では当たり前に考える「時間」について新しい見方をご紹介します。これを読むことで「忙しい!!」という普段の気持ちに少し余裕がでてきたら嬉しいです。


2時間遅れでOK

タンザニアでは、イベントには時間通りには行きません。

先日、娘のクラスメートのおたんじょうび会がありました。
夕方4時スタートだから、4時ちょっと過ぎに行ってみました。
ところが誰もいないんです。というか、まだパーティの飾りつけをしているじゃありませんか。

あ、早すぎたのか~と思って、待つこと30分。まだ、私たちしかいません。

1時間過ぎたころに、人がぽつぽつと到着し始めました。

「4時スタートだよね?」と他の参加者たちに聞いたら「まあ4時には始まらないよね、普通」と苦笑されました。

これ、タンザニアに来て、外国人がまず受ける「洗礼」です。イベントには、スタート時間の1時間後かそれより後に着くと、ちょうどよいようです。

タンザニア人の友達に「1時間遅れが普通なのね~?」と確認したら、「男性はそのくらいかしら。女性だと、スタート時間の2時間後くらいが普通よ。お化粧もあるしね」とのこと。

この体験で思い出したのは、学生時代にメキシコを旅行した時のこと。

現地で仲良くなったメキシコ人の友達に明日一緒にパーティに行こうと誘われました。「メキシコ人は約束した時間の1時間後でないと現れない。そのくらい時間の感覚が違うから」という現地在住の日本人のアドバイスに従い、約束した時間の1時間後に待ち合わせ場所に行ってみた私。

でも、パーティーに誘ってくれた友達とはその後、2度と会えませんでした。やはり、時間通りに待ち合わせ場所に行くべきだったのかわかりませんが、この時に「そうか、メキシコは、待ち合わせ時間に遅れてくるのが普通なのか~」とたいそう驚きました。

「今いくよ」は今じゃない

「今向かうよ (I am coming now)」は実は、まだ向かっていなんです。

先日、家の無線LANルーターが壊れ、電話会社の作業員に直してもらわなくてはいけなくなりました。作業員が来ると言われてからすでに3日間たっており、私はかなり急いでいました。

やっと作業員の電話番号がつかまり彼に電話。ここで、冒頭の一言を言われました。「今向かっているのか!」と安心した私、ですが、1時間ほど待っても現れません。

もう一回電話をして「向かってるんだよね?」というと、冒頭の同じ言葉。
「今向かってる」 それからさらに1時間ほどして、やっと到着しました。

タンザニア在住歴が長い友達に聞くと、それは実際にはまだ家に向かっていなかったのではないかと。

本当に向かっている時は、こう言うそうです。
「今、本当に今向かっている。(I am coming now, NOW) 」

今って2回行ったら、私たちがイメージする「今まさに向かっている」ということだそうです。

だったら、今向かっているじゃなくて、「これから出る」とか言ってほしいです。

なかなか決まらない「祝日」

これまたびっくりしたのですが、タンザニアでは、明日が祝日になるかどうか、直前になるまで決まらないことがあります。

イスラム教徒が国民の40%を占めるタンザニアでは、ラマダン、いわゆる「断食月」があります。ラマダンが明けるとそれを祝う「祝日」があります。そして、この祝日、イスラム教徒の最高指導者が月の満ち欠けによって決めるんです。

月の満ち欠け次第なので、場合によっては、祝日がギリギリまで確定しません。

ある時は、前日の夜7時くらいに、息子の幼稚園から「月の満ち欠けが確認できた。明日は学校は休みです」と連絡がはいり、夫の職場からも「明日は祝日になりました」と連絡が入り、祝日となりました。

「時間にルーズ」でなくて「柔軟」

最近読んだ本で、このタンザニアで流れる時間の理由と思われる解説を見つけました。世界の時間は「直線的な時間」と「柔軟な時間」の2つあるそうです。

直線的な時間:日本、ドイツ、スイス、スウェーデン
柔軟な時間:ケニア、インド、中国、ブラジル

『異文化理解力(The culture map)』 by ErinMeyer 

アフリカや中南米、さらに中国などは常に起きる「変化」に対応できるように時間に対応しているというのです。

なぜなら、こういう国では、政情不安定、金融システムの不安定、交通渋滞、気候の変動、水不足など生活のあちこちで予測できない混乱や試練が、先進国以上にひそんでいるからだと著者は説明します。

こういった不安定さに対処するためには、その時に起きたことにあわせて行動する柔軟さが必須となります。その結果、15分とか30分ごとに時間を区切るのではなく、極端に言えば48時間の区切り、くらいなイメージで環境の変化にあわせて行動するほうが大切なのだそうです。

外国に比べて、国内の社会システムが圧倒的に安定している日本では、
きっちりとした時間にそって生活していくことが可能というのは納得できますね。

まとめ

日本で小さい頃から言われてきた「3分前行動」が当たり前になると、日本の外での時間の流れに驚くことが多いです。

ただ「あの人たちは時間を守らない。ルーズな人たちだ」とぷんぷんするのではなく、その国の歴史や文化や価値観を少し理解するだけで、イライラすることが減るのかなと思います。

時間は全人類に平等に与えられたものですが、文化や価値観でこれだけ接し方が違うって興味深いですよね。

時間の流れが違うことがわかったら、明日からは「タンザニア人はいつも遅いっ!」とイライラせずに、タンザニアで流れる時間を尊重しておだやかに
過ごせそうです。

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