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イスラエルとユダヤ人 考察ノート (角川新書) (日本語) 新書

元外務省主任分析官の佐藤優さんが、イスラエルとユダヤ人について考察した本ということで、購入読了。

ユダヤ人というと、その宗教的背景(イエス・キリストを殺した民族であり、キリスト教徒の従事できない金融業で高利を貪っていたようなベニスの商人のイメージ。)から、多くの時代において差別され、最終的にはナチスによる600万人もの大虐殺(ホロコースト)につながっており、悲劇的な歴史を持った民族である。

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そのような悲劇的な歴史から、イスラエルは、「全世界に同情されながら死に絶えるよりも、全世界を敵に回しても生き残る」ということを国是としており、世界の政治・経済に対して、情報戦を張り巡らせている。

佐藤優さんは、ソ連に外交官として赴任している間に、ソ連社会の政治家等に知己を得ていくが、その中でもユダヤ系のソ連人と仲良くなっていく。

この本を読むまでは知らなかったけれど、ソ連崩壊まで、ソ連はユダヤ人の国外流出を抑えており、政権や学界の中枢ではユダヤ系の人が活躍していたようだ。また、ソ連崩壊後は、100万人もの人がイスラエルに移民し、イスラエルでもロシアの文化を大事にした生活を行っているようだ。

こういった歴史的経緯から、ロシアというと、イランやシリアと仲が良いようなイメージを持ってしまうが(私は持っていた)、イスラエルにも一定の影響力を持っている、とのことである。

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また、日本の外務省は、親アラブ派が主流であり、イスラエルに敵対的な人が多いという。それは、外務省の職員が、イスラエルでなくアラブ諸国に留学するため、パレスチナの視点で世の中を見るようになってしまうからだという。しかし、日本の国益の観点からは、佐藤さんは、イスラエルと仲良くするのが良いという。その理由は、イスラエルはアラブ諸国と異なり、民主主義・資本主義という同じ価値を信じており、モサド等のインテリジェンス機関と情報を緊密にすることが日本の国益に適うからだという。また、イスラエルのロシア人脈により北方領土問題でも優位に立てる、とのことである。

イスラエルのことだけでなく、イスラエル・インテリジェンスの社会のものの見方、分析方法を学ぶことが出来る本である。

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私も、ユダヤ・イスラエルと仲良く緊密な関係を築くことが日本の国益に適うと思うし、日本のイラン・パレスチナに寄った外交姿勢を正していくべきだと思う。

ユダヤ民族が世界の中で生き残ってきたエッセンスをこの本を読むことにより学ぶことが出来る。コロナが明けたらイスラエルに行って、宗教的施設を訪れたり、イスラエルの人と話してみたいと思った。


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