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ピアノ事件

ある日、幼稚園から帰ると祖父が「おtomoちゃん、出かけようか」と言ってきたのでついて行きました。
お出かけ場所はピアノがたくさん置いてある場所。

幼稚園の先生みたいにピアノ(正確にはオルガン?)が弾きたくて母に内緒でお願いしてたのです。

初孫、しかも同居で赤ちゃんの時から一緒に過ごしている祖父はピアノを購入したのです。

ある日、ピアノは納品され家に運ばれました。
幼稚園から帰ってきてピアノに大興奮の私。
満足そうなお爺ちゃん。
「○ちゃん(母の名前)に内緒で買ってきて!」とお婆ちゃん
「・・・」父
「本当にピアノするの?またお爺ちゃんに頼んで!!!!!ガミガミガミ」と母
「おtomoちゃんに弾いてもらったらワシが歌う。ワシの歌の練習になる」と言う必死で私を庇うお爺ちゃん
「じゃあ、好きな演歌弾くー」呑気な私
「お婆ちゃんはみかんの花弾いて」呑気なお婆ちゃん
「ま、ええやん。これで将来有名なピアニストなったら」大きな夢をみる父
「ピアノの先生、誰が良いか聞いてみるわね」と実はそこまで反対していない母

翌日、母がピアノの先生を見つけて「習いたいなら先生にお話しする」といってくれたのでピアノ教室に通いました。

肝心のピアノですが、基礎ができるようになり何度も発表会に出させてもらって、地元で有名な音楽科のある女子校へ行ってくれたら嬉しいなという両親の思いを無視して飽きてしまったので辞めました。かれこれ5年は続けました。

お爺ちゃんには「大阪しぐれ」を演奏し、お婆ちゃんには「みかんの花、美空ひばりメドレー」を演奏したので約束は果たしました。
私のピアノ演奏にソファーで目を閉じて聞いてくれたお爺ちゃん。私の演奏に歌ってくれたお婆ちゃん。ありがとう。

興味のあることにチャレンジさせてくれた両親へ感謝してます。

初めてのピアノ発表会。いつもはお兄さんお姉さんが演奏するのを見ていた私には憧れの舞台。ライトの光とか拍手とか覚えてるけど、1番印象的だったのは母が涙目になっている横でお婆ちゃんは涙を流していた事です。
なんで泣くの?って思っていましたが自分に子どもが産まれその意味が分かりました。